自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★アメリカに狙い定めたか 繰り返される北朝鮮のICBM

2023年02月18日 | ⇒メディア時評

   きょう夕方、北朝鮮がICBMを発射した。防衛省公式サイト(18日付)によると、北朝鮮は午後5時時21分ごろ、平壌近郊から、1発のICBM級弾道ミサイルを東方向に発射した。弾道ミサイルは66分飛翔し、午後6時27分ごろに北海道の渡島大島の西方約200㌔の日本海のEEZ内に落下した。飛翔距離は約900㌔、最高高度は約5700㌔と推定される。

   北朝鮮がICBMを発射したのは、去年11月18日以来で、今回が11回目となる。ミサイル技術は進化していて、最高高度が5700㌔、飛行距離が900㌔なので、角度をつけて高く打ち上げる、いわゆる「ロフテッド軌道」と呼ばれる発射方式だ。この日、記者の質問に答えた浜田防衛大臣は「飛翔軌道に基づいて計算すると、弾頭重量などによっては1万4000㌔を超える射程となりうるとみられ、その場合、アメリカ全土が射程に含まれる」との見方を示した(18日付・朝日新聞Web版)。(※図は防衛省公式サイト「北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について」より)   

   これまで「瀬戸際外交」と呼ばれたアメリカを交渉の場に引き出すためのミサイル発射を、北朝鮮は完全に方針転換した。日米韓への挑発行為に狙いを定め、エスカレートさせている。金正恩総書記は2021年1月の朝鮮労働党大会で、アメリカを「最大の主敵」「戦争モンスター」と呼び、そして、去年1月の朝鮮労働党政治局会議で「アメリカ帝国主義との長期的な対決に徹底して準備しなければならない」とする方針を打ち出し、2018年に中止を表明していたICBMの発射実験や核実験について見直しを表明していた。去年6月、IAEA(国際原子力機関)は北朝鮮の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の坑道の1つが再び開かれたことを確認している。   

   以下、憶測だ。北朝鮮とすれば、ICBMの発射実験を繰り返すと同時に、それに搭載する小型核弾頭が完成すれば、核・ミサイルによる打撃能力は完成形に近づく。最高権力者としては、核実験を一刻も早く実施したいのではないか。台湾有事に加え、朝鮮半島の有事も深刻度を増しているように思えてならない。

(※写真は去年3月24日に北朝鮮が打ち上げた新型ICBM「火星17型」=同月25日付・労働新聞Web版)

⇒18日(土)夜・金沢の天気   くもり

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