自宅庭の五葉松に寄り添うようにタカサゴユリの花が一輪咲いていた=写真=。例年ならば旧盆が過ぎたころに咲く花だが、早咲きのようだ。この時節は花の少ない季節なので目立つ花でもある。ヤマユリのような高貴な香りはないが、「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」の言葉のように、花は白く美しく、人目をひく。この時節には茶花として床の間に飾る花でもある。
漢字名は「高砂百合」。名前の通り、日本による台湾の統治時代の1924年ごろに園芸用として待ち込まれたようだ(Wikipedia「タカサゴユリ」)。いまだったら、「外来種」として持ち込みに批判が出たかもしれない。国立研究開発法人「国立環境研究所」の公式サイトには、「侵入生物データベース」にリストアップされている。「日当たりの良い法面や道路わき、空き地などに侵入する」と。持ち込まれた当時は外来種という概念もなく、花の少ない季節に咲くユリの花ということで日本で受け入れられたのだろう。
侵入生物データベースの「備考」欄には、「全国的に分布を広げている種であり、自然植生に対して悪影響が及ばないよう、適宜管理を行う必要がある」と記されている。「適宜管理」とは伐採して根ごと処分するという意味なのだろうか。とすると、こうしてブログで画像をアップすることも罪深いということだろうか。
タカサゴユリには意外な特性もある。同じ場所に何年も生育すると、土壌に球根を弱める特定のバクテリア(病原菌)が繁殖して枯死してしまう。連作障害だ。このため、種子を多く付け、種子は新たな原野を求めて風に乗って各地に拡がる。種子がたどり着いたその地が伐採などで一時的に明るくなると生育して勢力を拡げ、ときに群生して大きな花を咲かせるも、数年経つとまた他の地へ旅立つように去ってゆく(Wikipedia「タカサゴユリ」)。ひととき白く輝く花を咲かせ、やがて別の場所に飛び立っていく。「旅するユリ」とも称される。
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