自在コラム

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★「金属バットマン」に同情の余地なし

2020年12月11日 | ⇒ニュース走査

  元新聞記者、元テレビ番組ディレクターを経験したせいか、地域にこういった事件が起きると、「なぜだ」と妙に血が騒ぐ。きのう10日、石川県七尾市の市会議員が金属バットを持って議会事務局に入り、駆け付けた警察官に現行犯逮捕された。この議員は77歳、10期目のベテランだ。一夜明けて、その「なぜだ」の問いが断片的ながら見えてきた。きのうに引き続き、ブログのネタに。

   きのうのブログで「過去に無用にバットを振り回し周囲を威嚇するような行為があったのだろう。市役所の職員の対応はその経験則ではないかと察する」と憶測を述べた。きょうの地元紙によると、やはり、過去にも「金属バット歴」があるようだ。逮捕された市議、杉本忠一容疑者はきのう午前10時半ごろに七尾市役所に金属バットを持って入った際、市役所職員が警察に通報。杉本容疑者が議会議長の杉木勉氏と議会棟のロビーで面談する際、脇にバットを置いたため、議会事務局の職員が隙を見て、バットを取り上げた。駆け付けた警察官は任意同行を求めたが、杉本容疑者は「素振りなどの運動をするために持っていた」と警察の要請を拒否。警察は迷惑防止条例違反で午前11時20分ごろ現行犯逮捕した。市役所職員のこの機敏な行動(警察への通報、バットの取り上げ)は経験則だと直感した。

   きょうの地元紙によると1995年に市職員に暴力をふるおうとするなど荒っぽい言動があり、議員辞職勧告を議会から受けたことがある(12月11日付・北國新聞)。また、同僚の議員とトラブルを起こしてバットで殴りかかろうとしたほか、市職員や議員に暴力を振るおうとするなど荒っぽい言動やトラブルが目立つと議会関係者は話している(同・北陸中日新聞)。暴力には至らなかったものの、その寸前での行為が目立った。市職員の経験則にはこうしたリアルな背景があった。

   もう一つの疑問だ。なぜ金属バットを持って議長と面談をしに行ったのか。ことし10月に同市の市長が選挙によって交代した。現職を応援したのが杉本容疑者、前職を応援したのが議長だった。今月8日の議会一般質問で、前職を支持した議員が現職の市長に対して、「市長選で用いた討議資料の中で、七尾市のごみ処理施設の予定価格が非公開だったため、談合が行われたとの記載があるが、予定価格は公開されていた。記載が間違っており、市民に謝罪を」と厳しく追及した。これに対し、杉本容疑者は「裁判所の検事のように追及するな」などとやじを繰り返したため、議長から何度も注意を受けた。また、翌日9日は杉本容疑者自身が一般質問をしたが、通告にはない話をしたとした議長から再度注意を受けていた(同・北陸中日新聞)。

   議会で注意を受けたことに逆に遺恨の念をもったようだ。同情の余地がない。

⇒11日(金)夜・金沢の天気     くもり


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