自在コラム

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★北朝鮮の発射体は「はりぼて衛星」だったのか

2023年07月06日 | ⇒ニュース走査

    5月31日朝、沖縄県にJアラート=全国瞬時警報システムが鳴り響いた。「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難して下さい」と。間もなくして、「先ほどのミサイルは我が国には飛来しないものとみられます。避難の呼びかけを解除します」に切り替わった。Jアラートを報じるNHKニュースをチェックしていたが、スピード感のある速報だった。緊張が走ったのも、これに先立って北朝鮮が4月29日に「31日から来月11日までの間に『人工衛星』を打ち上げる」と日本に通告していたからだ。

   その後に韓国メディアのWeb版に切り替えた。すると、通信社の「聯合ニュース」は、韓国軍の消息筋の話として、北の宇宙発射体が予告された落下地点に行かず、レーダーから消失したと伝えていた。

   さらに北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央通信」Web版をチェックすると、「午前6時27分に西海衛星発射場から軍事衛星『万里鏡1号』を新型ロケット『千里馬1型』に搭載・発射した」「1段目の分離後、2段目のエンジン始動に異常があり推進力を失って朝鮮西海(黄海)に落ちた」。失敗の原因を「千里馬1型に導入された新型エンジンシステムの信頼性と安定性が低く、使用された燃料の特性が不安定であることに事故の原因があった」とした上で、「国家宇宙開発局は衛星発射で現れた重大な欠陥を具体的に調査、解明し、可能な限り早期に2回目の発射を断行する」と報じていた。

   北朝鮮の衛星発射の失敗から36日。きょう6日付の韓国メディア「中央日報」のWeb版をチェックすると、その結末が報じられている。韓国軍合同参謀本部は黄海に落下した北朝鮮の衛星の残骸を引き上げて分析した結果をきのう5日に発表した。米韓が共同分析した結果では、搭載されていたカメラは横・縦1㍍が1個の点で表示されることを意味する「解像度1㍍級」よりはるかに解像度が落ちるもので、偵察を目的とした軍事的効用はまったくないことが分かった。(※写真、先月16日に引き揚げられた発射体の残骸の一部=撮影:韓国軍合同参謀本部)

   その上で、ミサイル防衛に詳しいマサチューセッツ工科大学の専門家のコメントとして、「技術的に発展した国というこ学を見せるためのもの」と紹介し、いわゆる「はりぼて衛星」をあたかも全世界を偵察できる能力があるように見せかける意図があったのではないかと指摘した。

   ただ、北朝鮮は再度の衛星打ち上げを断行すると表明している。必要な技術と部品、装備を調達するとなれば、ロシアの支援を受けるしかないのではないか。

⇒6日(木)午後・金沢の天気    はれ


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