元日の能登半島地震でおよそ8割の田んぼにひび割れなどが入り、水耕を続けられるのか懸念されていた輪島市の白米千枚田できのう11日、田植えが行われた。メディア各社が報じている。このブログ(4月20日付)で千枚田での田起こしを紹介した。このときは地元有志でつくる「愛耕会」が行った田起こしは1004枚のうち60枚だった。その後、ひび割れなどを復旧する作業が行われ、きのうの段階で120枚に田植えが行われた。(※写真は、田植えに間に合うように復旧作業が進められた千枚田=5月3日撮影)
田植えを行ったのは愛耕会と、棚田を有償で借りて耕作する「オーナー会員」ら。県内外から千枚田を訪れた27組55人のオーナー会員は愛耕会のメンバーから田植えの手ほどきを受けて作業を行った。震災に見舞われ、復旧作業が施された千枚田での作業なので、オーナー会員たちにとっては思い出に残る田植えとなったに違いない。
それにしても苦労を背負ったのは愛耕会のメンバーではないだろうか。メンバーの大半も被災し、いまも金沢市に2次避難している。これまで天候を見計らって輪島市に戻って千枚田の修復をすることを繰り返し、きょうこの日にたどり着いた。田植えの開会式で、愛耕会の白尾会長は「ここまで来られるとは思っていなかった」と言葉を詰まらせた。20秒の沈黙の後、参加者の拍手に励まされ、「来年はもっと元気に1枚でも増やしたい」と言葉を続けた(5月12日付・北陸中日新聞)。
4㌶の斜面に小さな棚田が連なる白米千枚田は2001年に文化庁の「国指定文化財名勝」に指定された。2011年に国連世界食糧農業機関から「能登の里山里海」が世界農業遺産(GIAHS)に認定され、千枚田はシンボル的な存在となった。愛耕会のメンバーにとっては、1枚でも多く棚田を耕すことこそ能登の復興の希望につながるとの想いを胸に、当初予定していた60枚を120枚に増やす努力を重ねたに違いない。きょうの千枚田の記事を読みながら、そんな感想を抱いた。
⇒12日(日)夕・金沢の天気 くもり時々あめ
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