今月14、15日と能登半島の尖端、珠洲市で開催されている「奥能登国際芸術祭2023」の作品鑑賞に行ってきた。その作品の感想をいくつか紹介する。先月に3回シリーズで紹介した「能登さいはての国際芸術祭を巡る」の続きを。
能登半島全体で74基の大型風車がある。うち、珠洲市では30基の風車が回る。ブレイド(羽根)の長さは34㍍で、1500KW(㌔㍗)の発電ができる。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。能登半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が6㍍/秒を超え、一部には平均8㍍/秒の強風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件なのだ。
この珠洲の山の上(標高300-400㍍)にある風車群をアートにしたのが、日本のグループ「SIDE CORE」の作品『Blowin‘ In The Wind』。車で曲がりくねった山道を登る。頂上付近に近づくとブォーン、ブォーンと音がする。ブレイドが回転している。山のふもとから見上げると小さな風車だが、近づくことでその大きさに驚く。
その風車の下には作品の5点が設置されていた。風の動きによって動く風向計のようなもの、いわゆる「風見鶏」だ。上の写真は自転車と道路の崖をイメージした作品。風が出ると風車と風見鶏がいっしょに風に向って動き出す。そう考えると、風車も巨大な風見鶏のようだ。
この風景を眺めていて、ふと若いころに歌ったボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんだ。「風に吹かれて」の英名は『Blowin‘ In The Wind』。作品名と同じ。作者たちもこの歌を口ずさみながら制作したのかと思ったりした。
珠洲市の外浦の海岸は大陸に面していて、強い風が吹く。海岸を見下ろすがけの上に船の帆をモチーフにした作品が現れる=写真・中=。作品名『TENGAI』(アレクサンドル・ポノマリョフ氏=旧ソ連「ドニプロ」/ロシア)。風が吹くと帆柱の網が振動して、下の酒タンクが共鳴してハープのように風の音を響かせる。まるで空の音色だ。珠洲の対岸にあるのはロシアのウラジオストクなので、作者は「大陸からの風で鳴る」との想いを込めているようだ。
作品を鑑賞するために里山や里海を移動する。ふと空を見上げると、見事な「うろこ雲」が空を覆っていた=写真・下=。これも空のアートだと直感してシャッターを押した(撮影は14日午後4時39分・珠洲市内)。
⇒15日(日)夜・金沢の天気 はれ
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