自在コラム

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★建築家・谷口吉生氏が具現化した禅の研究家・鈴木大拙の「スーッとやるんだ」

2024年12月21日 | ⇒ドキュメント回廊

  館内に入ると「内部回廊」と呼ばれるうす暗く静かな廊下があり、展示室へと伸びている。そして、小さな展示室を抜けると、鈴木大拙館の「水鏡の庭」「外部回廊」「思索空間」のエリアの広がる=写真・上=。水鏡の庭は、コンクリートのプールに水をはったもの。プールには白を基調とした「思索の空間」の建物が映え、風になびく水面に心が打たれる。少しの風でも水面がなびくように設計されているのだろう。

  そして、「思索の空間」の建物には能登でよく見かける白壁の土蔵をイメージする。中をのぞくと、外の風景とまったく別世界の空間が広がる。薄暗い正方形の部屋に木製のベンチが置かれ、畳が敷いてある=写真・下=。どうぞ座禅を試みてくださいと言わんばかりのしつらえなのだ。

  鈴木大拙がよく使った言葉の一つに、「スーッとやるんだ」という短い言葉がある。この場に立つと、その意味がなんとなくわかる気がする。とくに哲学的な意味はないのだろう。風が抜けるようなすがすがしさを感じる心地よい言葉だ。それを谷口吉生氏が建物として具現化したのだろうと感じた。


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