自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★再び心で歌う『不協和音』の痛ましさ

2020年11月23日 | ⇒ニュース走査

           香港の裁判所は、昨年6月に市民らが警察本部を取り囲んだ大規模な抗議デモに関連し、無許可の集会への参加をあおったなどとして起訴されていた民主派団体「香港衆志」の周庭(アグネス・チョウ)氏ら3人に対し、有罪を認定したうえで、保釈を取り消した(11月23日付・NHKニュースWeb版)。

   周氏らはことし8月に逮捕され、保釈されていた。保釈後、日本のメディアに対し、香港警察から証拠の提示もなく、パスポートも押収され、「なぜ逮捕されたのか分からない」と流暢な日本語で答えていた。そして、拘束中に「欅坂46」のヒット曲『不協和音』の歌詞が頭の中に浮かんでいたという。

   欅坂46のこの曲『不協和音』は正直知らなかった。ネットで検索すると秋元康が作詞して2017年4月にリリ-スされたとある。「絶対沈黙しない」「最後の最後まで抵抗し続ける」などの歌詞が民主活動家としての彼女の心の支えになったのだろうか。2014年のデモ「雨傘運動」に初めて参加してから、今回含めて4回目の逮捕だった。拘置所で過ごす孤独な夜にこの歌を心で口ずさんでいたのかもしれない。

   今回の保釈取り消しで周らは拘置施設に移送された。量刑は来月2日に言い渡される。出廷前に周氏は「未来に不安を抱いているが、ほかにも仲間たちが多くの犠牲を払っている。もっと重い罪に直面している仲間たちも支援してほしい」と話していた(11月23日付・NHKニュースWeb版)。拘置所の中で再び、「絶対沈黙しない」「最後の最後まで抵抗し続ける」と心の中で歌う彼女の姿を想像すると痛ましい。(※写真は周庭氏のユーチューブ動画より)

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