自在コラム

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★北の違法操業を支援する構図

2018年11月22日 | ⇒ニュース走査

           けさ(22日)のヤフーニュースで「韓国警備艦が日本漁船にEEZ内で操業停止要求」を読んで、韓国の「北朝鮮化」ではないかと訝(いぶか)る。さっそく水産庁のHPで掲載されているプレスリリース(21日付)で事実確認をする。20日午後8時半ごろ、能登半島の西北西約400㌔に位置する、日本の排他的経済水域(EEZ)の大和堆(やまとたい)付近で操業中の日本のイカ釣り漁船(184㌧、北海道根室市所属)に対し、韓国・海洋警察庁の警備艦が「操業を止め、海域を移動するよう」と無線交信をしているのを、水産庁漁業取締船と海上保安庁巡視船が確認した。

    水産庁の漁業取締船は日本の漁船の付近に位置取り、韓国警備艦に対し、日韓漁業協定でも日本漁船が操業可能な水域であり、漁船に対する要求は認められないと無線で申し入れた。その後、韓国の警備艦が漁船に接近したため、海上保安庁の巡視船が韓国の警備艇と漁船の間に割って入った。すると、韓国の警備艇は午後10時50分ごろ現場海域を離れた。以上が水産庁のプレスリリースの概要だ。2時間20分余りの緊迫した雰囲気が伝わってくる。

   今回の韓国の警備艦による日本漁船の退去要求はまさに「ここは我々(韓国)の漁場」であり、出ていけと警告したのと同じだ。これは、北朝鮮が繰り返してきた主張と重なる。領海の基線から200㌋(370㌔)までのEEZでは、水産資源は沿岸国に管理権があると国連海洋法条約で定められている。ところが、北朝鮮は条約に加盟していない上、日本と漁業協定も結んでいない。端的に言えば、北朝鮮が非批准国であることを逆手にとって自らの立場を正当化して違法操業を繰り返しているのが現状だ。条約の批准国であり、日本と漁業協定も結んでいる韓国がなぜ日本のEEZ内の海域で「日本漁船は出ていけ」とメッセージを発したのだろうか。その意図は一体何だろうか。

   このブログでも何回かEEZ内における北朝鮮の違法操業について述べた。現在でも大和堆での北のイカ漁船によるが違法操業が繰り返され、海上保安庁巡視船は退去警告に応じなかった漁船に放水して退去させている。少々乱暴な言い方かもしれないが、韓国の警備艦による日本漁船への退去要求ならびに、漁船への接近はこうした日本側の措置に対する「警告」ではないか。つまり、これ以上北の漁船に対する取締をするなとのメッセージではないだろうか。

   最近の韓国の動きは不可解だ。10月、済州島での国際観艦式に際して自衛艦隊旗の旭日旗の掲揚に難色を示して物議をかもし、韓国大法院が日本企業に戦時中の朝鮮半島からの出稼ぎ者に対する損害賠償を下し、「国際法違反だ」と日本の反感を煽った。今月は「最終的かつ不可逆的に解決」と確認した日韓合意でつくられた、いわゆる元慰安婦を支援する「和解・癒やし財団」を解散した。これから先に見えるのは、日本海の呼称問題、つまり韓国側が主張する東海(トンヘ)の地図上で併記の要求、さらに日本と韓国の漁業協定の棚上げ、あるいは破棄などへの広がりではないだろうか。

⇒22日(木)午前・金沢の天気    あめ


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