「こころざし半ばで去ることになった人への判官びいきかもしれません」。安倍総理の辞任表明について書かれた知人からのメールの一文だ。その前段に、「森加計桜があったり、アベノミクスで日本の経済は強くならなかったりはあっても、安倍さんてすごい人だったのかも・・・」と評している。おそらく国民は声には出さなくても、7年8ヵ月の「最長の総理」の実績はそれなりに心に留めているのではないだろうか。
それを数字が物語っている。共同通信が実施した緊急世論調査(29、30日)で、内閣支持率が56.9%と前回調査(8月22、23日)より20.9ポイントも増えている(8月30日付・共同通信Web版)。1週間後に内閣支持率が20ポイント以上も伸びることは通常ではあり得ない。さらに、第2次安倍内閣以降の7年8ヵ月間について、ある程度を含め「評価する」が71.3%に上っている。「こころざし半ばで去ることになった人への判官びいき」なのだろうか。
緊急世論調査では、次期首相に「誰がふさわしいか」と聞いている。ダントツで1位は石破茂氏(自民党元幹事長)で34.5%、2位は菅義偉氏(官房長官)14.3%、3位は河野太郎氏(防衛大臣)13.6%、以下、小泉進次郎氏(環境大臣)10.1%、岸田文雄氏(党政調会長)7.5%と続いている。石破氏のどこが総理としてふさわしいと世論は感じているのだろうか。
一度だけ、石破氏にインタビューしたことがある。学生に地方創生を理解してもら教材ビデオを制作していた。タイミングよく、2016年2月7日、当時地方創生大臣だった石破氏が講演に金沢市を訪れた折に、インタビューに応じていただいた=写真=。
Q:地方創生にはどのような人材が必要なのですか
石破氏:昔から地域を変えるのは「よそ者、若者、ばか者」と言われ、外から新鮮な目で見ることが一つの要素なんです。若い感性とは、たとえばPCが使える、外国語が使えること。ばか者はこれまでの既成概念にとらわれない新しい考え方を持つこと。学生はそのすべてを持っている人が多いし、チャレンジ精神旺盛な方を求めたい。
Q:地域で活躍する若者に対して期待することは何ですか
石破氏:地方は東京と違い、行政との距離が近い。地域の特性を最大限に活かして金沢の大学が未来を作っていくのか。この国の未来は「学生」に創ってもらわないといけない、今はそんな時代です。明治維新など、歴史の変わり目に常に若者がいるというのはそういうことなんです。
Q:地域の大学に期待することは何ですか
石破氏:「象牙の塔」にならないこと。大学が持つ本来の真実を探求する心は忘れないでほしい。今は「地方が日本を変える時代」、その責任感や使命感、学生にはそんな感性を持って欲しい。
10分足らずの単独インタビューだったが、石破氏は淡々と答えた。無駄のない、理路整然とし、そして奥が深い内容だった。冒頭での「よそ者、若者、ばか者」は意外な言葉だったが、印象的として残り、納得もした。世論調査で石破氏の評価が高いのは、その発する言葉ではないだろうか、「言葉は人柄を語る」である。
しかし、「内閣総理大臣」となると別の側面も問われる。防衛問題でならす政治家だが、海外の安全保障のキーマンと意見交換や握手するといった防衛外交をする姿をメディアで見たことがない。たまたま見逃しているだけないかもしれないが、「外交の石破」の姿が見えないのだ。
自民党執行部は総裁選挙を今月8日に告示したうえで、党員投票は省略し、14日に両院議員総会を開いて投開票を行う方向で調整している(9月1日付・NHKニュースWeb版)。 菅氏が有力とも報じられているが、世論調査1位の石破氏はどうか。
⇒1日(火)朝・金沢の天気 はれ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます