自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★小銭はどこへ行く「さい銭箱」と「coinstar」の話

2022年01月09日 | ⇒トレンド探査

   先日、石川県白山市の白山比咩(しらやまひめ)神社での初詣=写真・上=でたまたま見た光景だ。家族連れの参拝者の男性が小さなビニール袋をハンドバックから取り出し、さい銭箱に投げ入れた。ゴトッという重量感のある音がしたので、相当の小銭の入った袋だったのだろう。また、グループで参拝していた女性は大きめ財布から小銭を手で掴むようにして投げ入れていた。こんなことを言うと罰が当たるかもしれないが、まるで小銭を厄介払いしているようにも見えた。

   キャッシュレス決済の時代、買い物をカードで済ませるのが普通となってきたが、それでも小銭は財布に溜まる。現金のみ扱う商店はまだまだ多い。スーパーなど量販店でも取り扱っていないキャッシュレスカードは使えない。本来ならば財布の硬貨を数えて出せばよいのだが、時間がかかる。スーパーのジレの後ろに列ができている場合などはつい急いで紙幣を出してしまう。すると、どっさり釣銭が戻って来る。飲み物の自販機では硬貨の10円、50円、100円、500円、紙幣は扱っているが、1円と5円は使えない。 

   さらに小銭を厄介もの扱いにする風潮を煽っているのが銀行の手数料だ。年賀状を買いに行った近くの郵便局で、「硬貨取扱料金」を新設するとのチラシを手にした。ゆうちょ銀行は窓口で大量の硬貨を預け入れる時、これまでは無料だったが今月17日からは有料になる。チラシによると、50枚までは引き続き無料だが、51枚から100枚には550円がかかる。ということは、1円が100枚で550円の手数料だ。101枚から500枚は825円、501枚から千枚は1100円となる。そして、ゆうちょ銀行のATMでは、硬貨1枚から25枚の預け入れで110円を求められる「ATM 硬貨預払料金」が新設される、とある。

   硬貨はこのまま「悪銭」と化するのか、と初詣のときから小銭問題が頭から離れなかった。これもたまたまだが、コインを取り扱う「自動硬貨計数機」という自販機と出会った。きのう8日、金沢市内にあるスーパーに立ち寄った。入院している親戚への新年のあいさつとお見舞いの帰りに立ち寄り、このスーパーに入るのは初めてだった。レジの近くの自販機に「coinstar」と書かれ、「たまった硬貨を手軽に換金できます!」とある=写真・下=。近づいてよく見ると、「投入金額の9.9%が手数料としてかかります」と貼り紙がしてある。これを見た瞬間、「手数料が枚数ではなく、投入金額の9.9%だったら、ゆうちょ銀行よりお得かもしれない」と思った。1円を千枚入れても、手数料は99円だ。10円が千枚の場合でも990円。ゆうちょ銀行は1100円かかる。

   財布の小銭を試しに入れてみた。1円、5円、10円、50円、100円をバサーッと自販機のトレイに入れ、レバーを上げると硬貨が吸い込まれていく。すると、硬貨枚数と金額が表示され、引換券が出てきた。341円。この引換券をサービスカウンターに持って行くと、100円3枚と10円4枚、1円1枚と交換してくれた。その後、買い物をして帰宅。ネットで「coinstar」を調べると、アメリカに本社がある会社でアメリカとヨーロッパを中心にコイン換金機を展開していて、アジアでは2018年7月に初めて日本に導入された、とある。キャッシュレス決済の時代、コインはもはやグローバル問題なのだ。そして、小銭の取り扱いにちょっと困っている人たちへの救いの換金機なのかもしれない。フリーダイヤル(0120-347-502)が記されていた。347-502はサヨナラ・コゼニと読むそうだ。

⇒9日(日)午後・金沢の天気      くもり


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