自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆ぱっと咲いて見事に散る桜の美意識

2021年03月24日 | ⇒トピック往来

    金沢地方気象台による「桜の開花宣言」がきのう23日発表された。同気象台の敷地にあるソメイヨシノが5、6輪以上の花をつけるのが開花宣言の基準になっている。リリース文によると、平年(4月4日)よりも12日早く、統計を開始した昭和28年(1953)以来、最も早い開花という。でも、なぜこんなに早咲きになるのか。地球温暖化が加速しているのだろうか。むしろ不気味に感じる。

   地球温暖化が桜の開花にどのような影響を与えるのか、ネットでチェックすると、ウエザーニューズ公式ホームページに興味深い記事(2020年4月12日付)があった。桜の花芽の成長には気温3-10度前後の低温による「休眠打破」(※園芸用語:寒気などの刺激により植物が活動に入ること)が必要となるが、暖冬だと休眠打破が行われず、成長が遅れる場合がある。開花しても満開にならない場合がある。

   上記のことから考えると、ことしの早咲きの原因には確かに理由がありそうだ。昨年12月と今年1月に強烈な寒波が北陸を襲った。とくに1月9、10日の寒波では自宅周辺でも70㌢ほど雪が積もって、市街地全体も「ホワイトロックダウン」状態だった。その後、2月に入ってからは雪もそれほど降らず、3月早々から春めいた天気が続いた。この寒暖の差が、金沢のソメイヨシノを刺激して早く咲かせたのだろうか。

   逆に言えば、このまま地球温暖化が進めば、冬場にシベリアから寒気団が来ない限り桜の開花は楽しめないということにある。仮に咲いたとしても、だらだらと咲くと満開にならない。楽しみにしているのは、桜の花のうつくしさだけではない。満開の桜だ。「ぱっと咲いて、見事に散る」、我々の心の中には桜に見る美意識というものがある。これが、人々に春の季節感や人生のモチベーションを高めてくれる。

   例年だと開花宣言後の週末、兼六園周辺の平地ではブルーシートを広げて宴会を楽しむ花見客の姿があちこちに見受けられ、季節の風物詩ともなっていたが、昨年はコロナ禍で閑散としていた。おそらく今年も感染防止で自粛だろう。金沢の満開は27、28日の週末だ。自粛ムードが漂う時代ではあるが、せめて桜の咲き乱れる兼六園の散策を楽しみたい。

⇒24日(水)午後・金沢の天気     はれ


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