自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「2018」を読む-中

2018年01月02日 | ⇒トレンド探査
    前回(1日付)の続き。昨年12月7日に女性宮司が実弟に刺殺された東京・富岡八幡宮が気になっていた。縁起でもない事件で、元旦の初詣客は激減だろうと。ネットニュースではそうでもないらしい。1日午前0時の直前には参拝客が次々と訪れ、本殿まで行列ができたようだ。事件と神様は別なのかもしれない。

     世相を映す賀状、「戌笑い」で乗り切る

    元日に多くの年賀状をいただいた。旧知の方からや最近懇意にさせていただいている方まで、賀状をいただくとうれしいものだ。礼を失することがないように初めて賀状をいただいた方にはなるべく早く出すように心がけている。それにしても、賀状は世相を反映するものだと感じている。

    「小池にハマって さぁ大変! 化かされた後始末も大変です」と賀状を送ってくれたのは東京に住む出版社の友人。世論調査(12月、産経・FNN合同調査)では、小池東京都知事の支持率が19.0%で過去最低を記録。衆院解散前の9月には66.4%に達していた高支持率はもはや崩れ落ちている。小池氏が国政よりも都知事の仕事を優先すべきなのに、先の総選挙で希望の党を立ち上げ、「排除」発言で墓穴を掘ってしまった。都民とすれば信頼できなくなったのだろう。「夢もチボーもない」(©東京ぽん太)年になりそうです!? と結んでいる。切れ味の鋭いユーモア。

    新聞社の関係者から。「新聞販売、厳しさが増していますが、終わりが迫っているのではなく、未来が始まってると強く思います」と。ネットの時代に既存の新聞・テレビの経営は厳しい。しかし、新聞というメディアはしぶとい、といつも思っている。だてに百年の歴史を背負ってはいない。関東大震災、先の大戦をくぐり抜いたメディアだ。どのような「未来」を描いているのか、今度お会いしたときに尋ねてみたい。

    能登半島は少子高齢化が急激に進んでいる。能登の方から。「百歳を越えた母と 古希に向かう妻 古希を疾うに過ぎた私 計二五〇歳に 近づきつつある老々家族となりました こうなれば三百歳超えをを狙おうかな・・・」。振り向く老犬のイラストが描かれ微笑ましい。気が若い。老を払う。

    昨年還暦の年に心筋梗塞で手術を経験したという知人から。「・・・カテーテル手術の最中に、モニター越しに健気に頑張って拍動する我が心臓君の動きを見て、・・・よくぞ60年も黙って、いい加減な私のために働いてくれたかと。この思いの向きは心配をかけた家族や友人、部下の皆にも同じでした。新しい年は感謝の気持ちを忘れずに、大切に過ごして参りたいと思います」。周囲への感謝の想いが詰まった賀状につい目が潤む。

    漆芸の人間国宝の方からいただた賀状。「『髹漆國技也』 正木直彦先生の揮毫した扁額が輪島塗資料館に掲げられてをります。漆芸に係はる一人一人が肝に銘じて大切にしなければいけない言葉だと思う」。髹漆(きゅうしつ)は漆を素地に塗ること。漆器は「japan」。古来から漆芸はこの国の生きる技だ。しかし、漆器業界は売上高が激減していて離職も相次ぐという。原点を見つめ精進を重ねることで、次なる可能性を見出したいとの決意にも読める。ひたすら漆の仕事に向き合う尊い姿が目に浮かぶ。

    メールで新年の言葉も。学生から「去年は能登ツアーや馬緤のキリコ祭りなど、大変お世話になりました。・・・著書『実装的ブログ論』、拝読させていただきました。雑草と戦うドンキホーテの話が面白かったです」。拙書をさっそく購読。こちらこそ感謝。

    投資家のホームページを読むと今年は「戌(いぬ)笑い」の年に当たり、株価が上昇するようだ。それにあやかって今年は笑いで乗り切りたいものだ。

⇒2日(火)朝・金沢の天気    ゆき

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