きょうの朝刊で石川県の地元紙が日本海のスルメイカの漁場、大和堆(EEZ=日本の排他的経済水域)で大量の中国漁船が違法操業を行っていると報じている=写真=。記事によると、水産庁が9月末までに退去警告をした船の数は延べ2586隻に上っている。去年までは北朝鮮の漁船による違法操業(2019年の警告数4007隻)が圧倒的に多かったが、今年は中国漁船の違法操業が去年より倍増した。記事を読んで、「尖閣の次は日本海か」と胸騒ぎがした。
記事によると、8月中旬から大和堆周辺で中国の大型底引き網船の違法操業が活発に動き始めた。水産庁の取締船はこれまで違法警告したにもかかわらず退去しなかった漁船に対し放水で警告を発した漁船は329隻に上った。
その背景はおそらく、中国で顕在化しつつある食料危機ではないだろうか。習近平国家主席が「飲食の浪費を断固阻止する」との指示を出し、新型コロナウイルス感染の世界的まん延は「警鐘」だと指摘し食料問題に危機意識を持つよう訴えた(8月20日付・共同通信Web版)。中国における食料問題は6月以降、中国各地で断続的に続いた豪雨災害で水田などの耕作地が冠水被害が広がったからだ。習氏が「飲食の浪費を断固阻止する」の指示を出すほど、危機感がひっ迫しているとも受け取れる。
食料危機のうち、タンパク源を確保するための水産資源の確保にも躍起なのではないだろうか。すでに、中国は北朝鮮海域での制裁決議違反が問題視されているにも関わらず、北朝鮮の漁業海域での漁業権を購入し、中国の遠洋漁船全体の3分の1にも相当すると見られる大量の船団を送り込んで漁業資源を漁っていた(7月27日付・ブログ「北の漂着船、グローバル問題に」)。北朝鮮の漁業海域で漁業資源をほぼ取り尽くし、次に狙ってきたのが日本海のEEZだろう。
冒頭の胸騒ぎは「大和堆の中国所有論」のことだ。中国は今年8月に東シナ海の海底地形50ヵ所について命名リストを公表した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域のほか、沖縄本島沖の日本のEEZも含まれる。その前、4月には南シナ海でも海底地形55ヵ所や島嶼(とうしょ)や暗礁25ヵ所について命名リストを公表している。中国とすれば、関連海域と海底に主権と管理権があると主張することで、海洋管理を強化する狙いがある。
次に来るのは日本海における海底地形の命名リストではないだろうか。地元紙は今回の中国漁船の違法操業について、「EEZ内に中国の公船が現れているとの情報もある」と伝えている(10月6日付・北國新聞)。漁船の違法操業に紛れて、公船が海底調査を行っている。あるいは逆か。海底調査を行う目くらましのために漁船を動員しているのかもしれない。
それにしても不可解なのは水産庁の発表にもかかわらず、全国メディアは日本海での違法操業のことをまったく伝えていない。スルメイカ漁だからか。マグロだったら大騒ぎか。
⇒6日(火)夜・金沢の天気 くもり
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます