自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登半島地震 がけ崩れなど複合災害に見舞われた里山

2024年01月24日 | ⇒ドキュメント回廊

   昨夜は雷鳴が響き渡っていた。金沢に住む者にとって、冬場の雷は大雪の前触れのようなもの。朝、2階の寝室のカーテンを開けると、一面の銀世界だった=写真・上、撮影は午前8時6分=。表現は少々古いが、「冬将軍のお成り」だ。さっそく玄関前など雪すかしをした。積雪は15㌢余りだが、北陸の雪はしっとりと湿っていて重く、けっこう疲れる。金沢地方気象台によると、この冬一番の強い寒気が流れ込んでいて、きょう夕方までに降る雪の量はいずれも多いところで能登地方の平地で30㌢、山地で50㌢、加賀地方の平地で30㌢、山地で70㌢と予想されている。

   加賀の積雪が能登より多いとの予想だが、やはり気になるのは能登半島地震の被災地。能登では中山間地、いわゆる里山の集落が多い。積雪は平地より格段に多い。地震で損傷を受けている建物が雪の重みで倒壊するおそれが出てくるのではなかと案じてしまう。今回の地震では積雪も含めて複合的な被害に見舞われているのが里山の集落ではないだろうか。

   輪島市では震度6強の地震に加え、中山間ではいたるところでがけ崩れが起き、道路が不通になった。さらに、がけ崩れで谷川がせき止められる「土砂ダム」ができ、各地で民家や集落が孤立した。(※写真・下は、土砂ダムで孤立した輪島市熊野町の民家=今月4日、国土交通省TEC-FORCE緊急災害対策派遣隊がドローンで撮影)

   このような言い方は適切ではないかもしれないが、民家や集落の孤立化の背景には中山間地の高齢化と過疎化という問題があった。奥能登では65歳以上の高齢化率が50%以上の地区が多い。今月5日時点で孤立した地区33ヵ所のほとんどが中山間地、あるいは海と山が接したリアス式海岸の集落だった(11日付・国土交通省「道路の緊急復旧状況」)。過疎地こそ道路の整備などが重要なのだが、能登の中山間地に入って不安になるのは山道のような細い道路が曲がりくねっている。過疎地には行政の手が行き届いていないと実感していたが、それが今回、孤立化というカタチで表れたと思っている。あくまでも推測だが。

⇒24日(水)午前・金沢の天気  くもり


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