自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★日本海の波高し、その後-下

2017年07月16日 | ⇒ニュース走査
       今月14日から海上自衛隊で最大の護衛艦「かが」が金沢港に寄港している。今年3月に就役したばかりで、艦名は「加賀」に由来するとのことで、海上自衛隊の基地以外の初の寄港地として金沢港が選ばれたという。寄港の目的をそのまま素直に受け取ってよいのだろうか

    けさ(16日)「かが」を撮影に、金沢港大浜埠頭に出かけた。連休中日のということもあり、見学者の車で港付近の道路は大変混雑していた。きょうは一般公開の日ではなく、乗艦はできなかった。外観は近づくにつれて威容が見えてきた=写真=。基準排水量1万9500トン、乗組員470人。全長248㍍、幅38㍍の広い甲板を有するヘリコプター空母型の護衛艦だ。甲板の前方に2機、中央に1機、後方に1機の計4機のヘリが駐機していた。

   この広い飛行甲板を活用して、潜水艦を探す哨戒ヘリコプター5機を同時発着させることができるのだという。これは海上自衛隊の潜水艦の探知や追跡力の向上を狙ったものとされるが、具体的には、性能の向上で探知が難しくなりつつある中国潜水艦への対応を念頭に置いているといわれる。陸上自衛隊との連携も想定していて、10機のヘリが収まる格納庫には、陸上自衛隊の大型トラック50台を搭載することもできる。また、陸上自衛隊が導入を予定する新型輸送機MV22オスプレイも発着が可能となる。

   災害対応として、手術台や35床のベッドを備えた医務室もあり、災害時の物資輸送やけが人の収容・治療など、多様な任務に対応できる。母港は呉基地(広島県呉市)。東シナ海など日本周辺で警備に就く。

   北朝鮮のICBMの発射(今月4日)など日本海側は波高しの状態が続いている。先月3日、アメリカのマティス国防長官は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、北朝鮮が核・ミサイル開発を急ピッチで進めていることについて「最も危険で差し迫った脅威」と危機感を示した。その上で、アメリカ海軍の艦艇の60%、陸軍の55%、艦隊海兵部隊の3分の2をアジア・太平洋地域に重点的に配備していることも明らかにした。

   その数日前の1日から3日にかけて、海上自衛隊の護衛艦2隻と航空自衛隊のF15戦闘機部隊が、アメリカ海軍の「カールビンソン」と「ロナルド・レーガン」の2隻の空母艦隊と日本海で共同訓練を実施している(防衛省発表)。航空自衛隊小松基地からはF15戦闘機6機が参加し、アメリカの空母艦載機FA18戦闘攻撃機と模擬の空中戦を展開した。護衛艦「ひゅうが」と「あしがら」はアメリカ側の艦艇と通信訓練を実施した。

   北朝鮮の有事に備える海上自衛隊の日本海側の最前線基地は舞鶴基地(京都府舞鶴市)だ。海上自衛隊で最大の護衛艦「かが」が舞鶴のほかに日本海側で寄港できる港を確認した。これが今回の目的ではなかったのか、そんな風に勝手に想像した。

⇒16日(日)午後・金沢の天気  くもり
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