Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
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金環日食撮影裏話(3)【動画あり】

2012-05-29 19:00:00 | 遠征日誌

これが最終編です。

さて、連続撮影のスタートは中望遠の方が先になります。

タイマーリモコンを使って、30秒のインターバルで連写していき、

後で5分とか3分とかの間隔で撮られた画像を選んで合成しようという魂胆です。

しかもオートブラケッティング(AEB)機能併用で、時間が来るとほぼ適正露出と

アンダー気味とオーバー気味の3画像をまとめて撮ってくれます。

これも良さげな写りの画像を後で選ぶことを考えてのことでした。

構図を決め、6:59から本番撮影を開始。30秒ごとにカシャッカシャッカシャッと

3回のシャッター音が鳴り響きます。この時点では特に問題は無さそうでしたが、

結論を先に言うと、失敗が待っていました(それについては後述します)。


一方、超望遠の方は6:20から10分間隔で順調に部分食を撮り続けてます。

こちらもカメラにタイマーリモコンを装着してますが、部分食撮影は時計を見ながら

マニュアルでリモコンのレリーズを押してました。こちらもAEB機能を働かせてます。

なお、部分食については常にフレームの真ん中に太陽像を据えて撮りたいので、

赤道儀のモーターをONにして追尾状態にしてました。夜のうちに正確な極軸合わせが

できたことが効いて、画角中央からほとんどズレずに7:20まで間欠撮影を続行。

その後はリハーサルでやったフレーム対角線上に太陽像が並ぶ連続写真を撮るための

構図合わせをきっちりやって、ハイライトとなる金環食前後の撮影に臨みます。

この地での食の最大の予報時刻は、事前計算により7:34:14と分かってましたので、

その6分前の7:28:14から10秒のインターバルで連写を開始。

赤道儀のモーターは連写スタートの直前にOFFしました。

ふと周囲を見渡すと、大分暗くなったのが分かります。えっ、もう夕方?みたいな。

空は晴れ渡って、雲が日差しを遮っているわけでもなく、ちょっと不思議な感覚。

気温も結構下がったように感じました。寒暖計があれば何度下がったか分かったかも。

そして7:33ぐらいからついに金環状態に突入。撮影はリモコン+カメラに全て任せて、

双眼鏡での観望に集中します。金環食帯の北限に近い場所なので、リングは同心円に

なりませんが、その代り月が太陽と内接した際に現れる「ベイリービーズ」が

見やすかったようで、その数珠つなぎになった「木漏れ日」ならぬ「月漏れ日」の

変化する様がよーく見えて感動しました。以前に見た皆既日食に比べれば大したことは

ないだろうと考えてたんですけど、これが意外と面白くて、動画撮影機材も用意すれば

さぞかし興味深い映像が残せたんだろうなぁーと思いました。

金環状態の継続時間は、金環食帯の北限に近い場所ということで、短めの約3分でした。

終ってしまうとアッという間の出来事って感じで、すぐ「裏Cの字」になってしまいました。

で、超望遠では写野フレームにかかって像が切れたところで一旦撮影を中断。

その後、再び赤道儀のモーターをONにし、写野中心に太陽像を据えた状態で10分間隔で

各食分の撮影を続けました。その結果は過去の記事にまとめたとおりです。

ついでに超望遠にて10秒間隔で撮った全てのコマを使って、動画も作成してみました↓

元画像は僅か72コマで、各コマの画像間でクロスフェードを掛けて作ったナンチャッテ系の

擬似動画ですけど、意外とそれらしい動きでびっくり! ちなみに11倍速相当になります。


一方、中望遠で連写を続けていたカメラも順調に撮影できていると思って様子をみたら、

なんと・・・・・止まってました。理由はメモリーカードが容量いっぱいになったためでした。

高画質で撮影しようと考えてRawモードに設定したことで、1コマのファイルサイズが

結構大きくなってしまい、撮影可能枚数が少なくなってしまったようです。

土曜日朝の最終リハーサルではJPEGモードでやっていたので容量の問題はなく、

撮影画像は太陽像以外真っ黒なので、Rawモードでもファイルサイズが大きくなることは

ないだろうと考えてたのが間違いでした。

ということで、尻切れ状態ですが、撮れたとこまで合成したのがこちら↓

 キヤノンEOS Kiss Digital X+28-75mmズーム(@75mm F8)+ND10000×ND8フィルター,
 ISO100 露出1/250秒で撮った9コマをPhotoshopCS3にて比較明合成

金環状態終了以降まで一応撮れてたのは不幸中の幸いですけど、

まとめると対称性のある画像になるはずだっただけに残念無念。んー、一生の不覚だぁ!

1分間隔で撮影してたら・・・とも思います。諸々欲をかいたのがいけませんでしたね。

そんな失敗もあったものの、まぁ雲に邪魔されずに撮影・観望ができてホッとしました。

9時過ぎに機材を撤収し、現地をあとにしましたが、帰る途中で八ヶ岳連峰がよーく見える

場所があったので、ちょこっと立ち寄って撮影してみました。その画像がこちら↓

雲だらけの状況からよくここまで天気が回復したもんだと、あらためて思うのでした。

めでたし、めでたし~。


コメント
--------これより以下のコメントは、2013年5月30日以前に-----------
あなたのブログにコメント投稿されたものです。
宮ちゃんNO1 [2012年5月29日 19:39]
こんばんは~ 宮ちゃんで~す!

撮影裏話も最終章?・・・専門的な事は良く判りませんが(笑)
結果オーライで良かったデスね~
八ヶ岳連峰をこの位置で見るとしたら・・・
清里か野辺山?・・・
fornax8 [2012年5月29日 20:13]
宮ちゃんNO1さん、いつもコメントありがとうございます。
またまたオタクな記事にお付き合いくださり、感謝です。

1週間以上経って、やっと最終目標だった動画作成が完了しました。
八ヶ岳を撮った場所は八千穂高原から少し南下した松原湖の近くになります。
まだ残雪が結構ありますね。
超86 [2012年5月30日 8:51]
やっぱ、プロじゃないですか~、、、!
すごいです、べんきょうになります。
fornax8 [2012年5月30日 12:18]
超86さん、毎度コメントありがとうございます。

写真で収入を得てませんので、プロではないですよー。
初歩的な失敗もやらかしますしね。
すごいと感じていただけるだけで光栄です。
mashさん [2012年6月2日 15:41]
fornax8さん、こんにちわ。

動画まであるとはさすがでござます。
月の動きがよくわかりました。
ありがとうございました。

松原湖付近からの撮影だったのですね。
かれこれ30年以上も前に行ったきりの場所です。

fornax8 [2012年6月2日 16:36]
mashさん、いつもコメントありがとうございます。

ビデオカメラは持ってませんので、インターバル撮影の画像を流用しまして
フリーソフトで動画化したものですが、割と面白い映像になったように思います。
個々の画像をズレないように合わせ込むのが結構大変で、
完成が遅くなってしまいました。
ところで、松原湖高原から見る八ヶ岳はとっても綺麗でしたよ。
景色自体は30年前とあまり変らないかもしれませんね。