みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

教科書に載りそう

2008年09月22日 19時51分26秒 | お仕事・学び
久々に広告のコピーを書いて以来、広告が気になって仕方ありません。

そんな中、地下鉄で、目が覚めるようなコピーを見つけました。あまりに感激して、写真に撮っちゃいました。


ad_0000.jpg: ゲームの広告
大地と戯れる。
自然は人の思うままにならない。そこが、たのしい。このゲームでは、カバのあくびをずっと待ち続けてもいい。珍しい動物に出会える奇跡を求めてもいい。約束できるのは、ここで過ごす時間が愛と癒やしに満ちていること。

ad_0001.jpg: ゲームの広告
深海にたゆたう。
美しさの向こうに、道の闇がある。だから、海は人をわくわくさせる。このゲームでは、深海魚や珊瑚の美しさにみとれて休日を過ごしてもいい。謎を求めてさらに深海を冒険してもいい。最後には、愛と驚きがあなたを包む。


プレイステーション用ゲームの広告のようです。私はゲームはしませんが、このコピーには、つい見入ってしまいました。

ゲームと言えば、コントローラーを休みなく操作し続けるものが多い (というよりほとんど) ですが、このゲームは違うようです。このコピーからは、従来からある大多数のゲームと違い、いろいろな楽しみ方があることが分かりやすく伝わってきます。

一口にいろいろな楽しみ方と言っても極端に幅が広く、積極的に動き回るだけでなく、何もしないという選択肢も用意されています。

何もしなくてもいいというのは従来のゲームと大きく異なり、ゲームらしくないゲームです。

ゲームとしては異端とも言える発想ですが、コピーを読むと、その考え方が実感を伴ってじんわりと伝わってきます。

キャッチコピーはたったの一言。「戯れる」、「たゆたう」と穏やかな語感の言葉を配して、操作の忙しい従来のゲームとは一線を引いていることをさり気なく伝えています。この穏やかなイメージは、知らず知らずのうちに読者の意識に染み込んできます。

ボディコピーでは、短文を次々に投入してテンポよく畳みかけていきます。立ち合いからがっぷり四つに組んだ後、「……してもいい。……してもいい」という反復で一気に土俵際に追い込み、最後に鮮やかに寄り切ります。

  1. 立ち合い (自然は人の思うままにならない。)

  2. 四つに組む (そこが、たのしい。)

  3. がぶり寄る (このゲームでは、カバのあくびをずっと待ち続けてもいい。珍しい動物に出会える奇跡を求めてもいい。)

  4. 寄り切る (約束できるのは、ここで過ごす時間が愛と癒やしに満ちていること。)



教科書に載りそうな構成とレトリックです。

コピー自体も、奇をてらわずに、素直な言葉をひとつひとつ積み重ねて丁寧に書かれています。奇をてらった言葉は、目を引くことはできても、情感に訴える力を持ちません。無駄をそぎ落として簡潔・明快な文章を書く訓練を積んだ人でないと、情感に訴えて一気に畳みかける文章は書けません。

久々に目の覚めるコピーを見ました。すばらしい。