西行は、出家を決意して家に帰ったところ、なついてきた娘を蹴とばしたという。
筆者は、「幼児虐待」と言い、「蹴とばしちゃいけません」と言っている。
何時のことだったか。
キタキツネの物語をテレビで見ていたら、キタキツネの親は、子どもの乳離れを促す時に
噛みつくようなしぐさをしたり、「あっちへ行け」というように、追いやる姿があった。
そうされると、子どものキタキツネは、独り立ちをし、獲物を自分で捕るようになっていく。
また、何かのドラマで、自分が嫌われるようなことをして、相手が、離れていくということを
して見せたものがあった。
「自立して」という親もいるだろうが、わざと嫌われることをしたりして、溝をつくって疎遠になることを
考える人もいるようだ。
昨年見た「ヤングスーパーマン」でも、若きケントが、恋人との付き合いの解消に、「愛していない」と
言い切った場面があった。
その時の彼女の顔に怒りがあらわれ般若のようになったのを見て、すれ違いを生み出す行為は罪になることも
あると感じたのを覚えている。
西行の行為は「幼児虐待」ではないと、思う。
しかし、自分が出家することにしたことで、娘の気持ちを自分から離そうと思ってのことなら、それは、子どもの
心を深く傷つけることになるかも知れないことになったかもと考えることも出来る。
「虐待」ではなく、「暴力」にはなるか。
日本を創った偉人たち365日 -あの日、何があったのか-
楠木誠一郎
講談社アルファ文庫
信でも何も残さない
中原昌也
新潮社