IRセミナー 「ロケット品質」のGSユアサは「EV(電気自動車)用バッテリー」をつくらない
ということで、今日はGSユアサと日新電機のIRセミナーでした。
これが粗品です。
一番下のは日新電機のしおりですが、それ以外はGSユアサでオリジナルのクオカード、そして
メモにクリップ。
画像にはないですが、日本の名車を題材にした6枚もののカレンダーもいただきました。
これがなかなかよかったです。
なお、このクリップ、マッチ箱のような箱をあけるとこんなのが入っています。
このクリップは車などのバッテリーの形になっています。ちょっとこれはいいですね。
カレンダーも含めてですが、今年もらった粗品の中では全体として今回のGSユアサが最もよかったです。
ありがとうございました。
で、GSユアサと日新電機ですが、いずれも京都本社の会社です。
GSユアサの前身の一つは日本電池です。かつて、電気自動車用バッテリーの材料で人気化したことが
あり、わけもわからずそこに参戦して損失を被った記憶があります。これは別に自分が悪いだけのことですが。
東海道線で京都から大阪方向へ進み、西大路駅を出てすぐ、川の堤防の手前あたりに旧の日本電池の工場や
研究所が見えます。なお、通りを隔てて向かいは日本新薬という一部上場の製薬会社です。日本新薬は社会人野球
のチームがあり、よく全国大会にも出ています。その野球のライバルが6467ニチダイだったりします。
あ、話がずれました。なお、GSユアサの「GS」は島津源蔵の頭文字です。そう、島津源蔵は
現在の島津製作所を創立した人で、まあ、いろんなことをしている発明家というか事業家です。
木屋町御池下がったあたりに島津の記念館があり、昔のいろなものが展示してあって面白いですよ。
って、また話がずれてますが・・・。
もともとは、日本電池とユアサは違う会社で、それぞれ鉛型の車用のバッテリーが主力製品でしたが、合併して
1つの会社になってます。これは確か、15年くらい前だと思います。えーと、2004年ですね。
現在も従来型の自動車のバッテリーが主力製品です。
が、注力しているのはリウチムイオン電池。それも小型のスマホとかに使うものではなく、車載用とか産業用の
大きめのものです。
ここで「ロケット品質」というのが出てくるのですが、ロケット品質といえば佃製作所。ではなくて、ここのリチウ
ムイオン電池は人工衛星とか宇宙ステーションとか、そういうところで実際に使われています。
まさにまじでロケット品質。宇宙だけではなくて、逆に海の潜水艦とか深海艇などにも使われています。飛行機にも。
ということで、それだけの信頼性や技術力があるということになります。あ、かつてはF1のマクラーレンにもバッテリー
を供給していたと思います。
が、このリチウムイオン電池の事業というのは一筋縄ではいかない。需要そのものは増加していますが、まず、原料が
値上がりする。そして、このリチウムイオン電池をつくるには、かなりの初期投資、設備投資のコストがいり、大変微妙な
特性を持つ素材(発熱、発火など)を扱う関係もあって、その工場を立ち上げようとすればコストは従来型の鉛蓄電池の比
ではないのです・・・。
だから、世界の中で、この車載用のリチウムイオン電池で大きく利益を出しているような企業は現状ではありません。
パナソニックでもそうです。
GSユアサはかつてこの事業で大きな赤字を出しました。で、現在はというと、わずかに利益が出るかどうかという水準
です。これでも電池をつくる技術が進歩してここまできたということです。
ではここから大きく利益が伸びていくのかというと、これがまたそう簡単でもありません。
実はGSユアサはEV用の電池には現在は積極的には取り組んでいません。つくるのはハイブリット、プラグインハイブリット
のトヨタとかホンダ向け、あるいは三菱向けの電池が中心です。
これはパナソニックが米国のEV、テスラ向け電池を量産化しているのとは対照的です。
さて、これからはEVの時代だとかあちこちで声高に言われるのに、なぜEVの電池をつくらない?。
実はGSユアサとしてはEVに突っ走るわけにはいかない事情がある。
日本国内では現在はEVというのはまだまだ普及はしていません。世界的に見てもそうでしょう。
国内ではハイブリットの車の比率はかなり高くなりました。このハイブリット、プラグインハイブリット向けということ
であれば、確実に相応の需要もあり、当面はまだここが伸びていく。
そして、その先はまだ見通せません。それは、まずEVの普及がどういうテンポでどう進むのかということが見通せない
ということだけでなく、その時の主力になるのば果たしてどんな電池なのかということも見通せない。
「全固体電池」と言われるような新しいエネルギー容量が大きく安全性も高い電池の開発が進んでいるとも聞きます。
これらが次のEVの主力の電池となれば、これまで主力だったリチウムイオン電池は、不要とまではいかなくても主役の
座を奪われるということにもなりかねません。
というような状況の中で、世界の中では車載用リチウムイオン電池のシェアがそれほど高いわけでもないGSユアサが、
いきなりEV向けの電池に突っ走るというのはリスクが大きいというわけです。
ということで、「ロケット品質」のGSユアサは「EV(電気自動車)用バッテリー」をつくらない、となるわけですね。
質問ではまず「ジーエス・ユアサさんもロケット品質だったんですね!」と持ち上げておいて、
「ですが、なんでリチウムイオン電池は利益が出ないんでしょうか」という方へ持っていきました^^;。
で、理解したのが上記のことです。 今日の話は、なかなか、興味深かったです。
投資判断は、うーん、新規に買いとはなりにくいです。だったら他に買いたいところがあるかも。注目はしておきます。