ということで、ざっと通読しました。
以前の版は持っていないのですが、「2010」となったことで、最近のニュースなどにも触れた内容となっており、それと関わっての著者の主張が前面に出ている感が強く、「資産運用の教科書」としては、基本的な趣旨については理解できる部分が多いものの、全体の構成としては印象がやや散漫となってしまっていると感じました。
・節約
・仕事に打ち込む
・生活資金確保
・投資は分散して
・低コストでシンプルな商品で運用を
・株は買ったら持っていること
・ETFは意味のある商品
・だまされないように
まあ、このような点について、基本的には同意できます。
が、株式について「一時的にどんなに上下しようと、株式を売らないで持ち続ける限り、最終的には十分な利回りが得られる」というあたりは疑問です。
どこが「最終」なのかはわかりませんが、長期的な統計では期間を長く取れば投資収益率の変動幅が縮小していっていることは「最終的には十分な利回りが得られる」ことの理由にはなりません。
少しだけふれられていますが、まずはどの時点でマーケットに参加するかというタイミングにより、その成果、収益は大きく異なってきます。いいタイミングでの売買を繰り返すことは難しいでしょうが、一般的な指標や水準でかまわないので、やはり「安い」と思えるところでマーケットに参加することは極めて重要でしょう。
ただ、株価が安い時というのは、周辺の環境は極めて悪い場合が多いため、そういうところで株を買うのには精神的に抵抗感が大きくはなります。なので、着実に資産を増やすための一つのポイントは「まだ下がるんとちゃうか」「もっと騰がるんとちゃうか」という不安感とか期待感に抗した売買ができるかどうかということになると考えています。
なので、株式投資は、ただ「持っている」だけではなくて、安いと思ったら少しずつ買うし、高いと思ったら少しずつ売るといった形を取りながら、平均買いコストを下げたり利益を確保したりして、自分のポジジョンを少しずつでも「何もしないようりもよかった」方向へ持っていったり、頻回な売買とまではいかなくても、時には保有銘柄の入れ替えなどを考えてもいいと思います。無論、思惑と逆の方向へ株価が動くこともままあるわけで、その場合の対処は最初から考えた上での対応をすることも重要でしょうが。また、税金を意識してクロス的な売買を利用するような方法も検討すればよいと思います。
長期的に株式を運用対象に組み入れるという点は同意するものの、ただ「持っている」だけではよくないということ、ある程度の売買タイミングは検討した方がよいことは著者とは見解が異なります。
また、社債投資のリスクを強調している点もやや疑問です。無論、国債とは異なる個別企業に投資するというリスクはあるわけです。また、適切な時価で売買しにくいという流動性のリスクもあります。が、ヤオハンやマイカルの社債の例から「お勧めできない」と強調するのはどうなのか?。格付けも信用できない面もありますが、格付けこどによるデフォルトの可能性の資料でも示されていればある程度は納得できるのですが、そういうものは示されていませんし。
さらに例を挙げるということで言えば、いわゆる「セブンイレブンの伝説」的なもの(本書ではソニーです。○○に××を△△円で買っていたら今は□□円になっている、という類の例を持ち出していること。こういう例はほとんどの場合、現実的ではないです。いつも使っていないような証券会社で買って、買ったこと自体をずっと忘れてしまっていたような場合ならありえるかもしれませんが。
また、投資関係の詐欺などと関わって「うまい話はない」ことも強調されています。これについても趣旨はよくわかります。が、マーケットでは個人投資家も活用できる「うまい話」がまれにあるのです。IPOなんがが代表的です。新発の転換社債なんかもこれに近いです。無論リスクはありますが、かなり自分の注意で安全度を高めることはそれなりに可能です。この「うまい話」をどう見分けるかも投資の収益率を向上させるためのポイントにはなると思います。ただ、これは本書の基本的な趣旨とはずれますけど。
それから、これはかなり重要な点だと思うのですが、本書は投資の楽しさということにふれている点が少ないです。マネー誌なんか「有害」と言い切ってしまってますし。週刊誌感覚で「楽しみ」として読む分にはマネー誌は悪くありません。また、個別銘柄についてあれこれ考えて売買するのも、細かいポジジョンでデイトレードをするのも、楽しいものです。デイトレなんか、趣味としては否定しないと言いつつ、基本的には否定的なスタンスですし。また、資産を守るという視点では、逆指値とかオプションなんかの活用は有効だと思うのですが、まったくふれられていません(入門書的な本なので、そこまでは範囲でないということかもしれませんが)。
投資によって様々な視野や視点が広がったり、人とのつながりが広がったりするというのは、副次的ではありますが、かなり大きな意味、意義があるのですが、これらの点についての内容も乏しいです。
ということで、本書の最新版は全体の趣旨はよくわかるり「悪書」ではないものの、その構成や個々の内容から「資産運用の教科書」として無条件で薦められるものにはなっていないと感じました。昔の版の方がよかったです。こう感じるのは、自分自身の投資の経験がそれなりに蓄積されてきたからかもしれません。
ということで、これは自分で買った本ですけど、オークション行きですね。
以前の版は持っていないのですが、「2010」となったことで、最近のニュースなどにも触れた内容となっており、それと関わっての著者の主張が前面に出ている感が強く、「資産運用の教科書」としては、基本的な趣旨については理解できる部分が多いものの、全体の構成としては印象がやや散漫となってしまっていると感じました。
・節約
・仕事に打ち込む
・生活資金確保
・投資は分散して
・低コストでシンプルな商品で運用を
・株は買ったら持っていること
・ETFは意味のある商品
・だまされないように
まあ、このような点について、基本的には同意できます。
が、株式について「一時的にどんなに上下しようと、株式を売らないで持ち続ける限り、最終的には十分な利回りが得られる」というあたりは疑問です。
どこが「最終」なのかはわかりませんが、長期的な統計では期間を長く取れば投資収益率の変動幅が縮小していっていることは「最終的には十分な利回りが得られる」ことの理由にはなりません。
少しだけふれられていますが、まずはどの時点でマーケットに参加するかというタイミングにより、その成果、収益は大きく異なってきます。いいタイミングでの売買を繰り返すことは難しいでしょうが、一般的な指標や水準でかまわないので、やはり「安い」と思えるところでマーケットに参加することは極めて重要でしょう。
ただ、株価が安い時というのは、周辺の環境は極めて悪い場合が多いため、そういうところで株を買うのには精神的に抵抗感が大きくはなります。なので、着実に資産を増やすための一つのポイントは「まだ下がるんとちゃうか」「もっと騰がるんとちゃうか」という不安感とか期待感に抗した売買ができるかどうかということになると考えています。
なので、株式投資は、ただ「持っている」だけではなくて、安いと思ったら少しずつ買うし、高いと思ったら少しずつ売るといった形を取りながら、平均買いコストを下げたり利益を確保したりして、自分のポジジョンを少しずつでも「何もしないようりもよかった」方向へ持っていったり、頻回な売買とまではいかなくても、時には保有銘柄の入れ替えなどを考えてもいいと思います。無論、思惑と逆の方向へ株価が動くこともままあるわけで、その場合の対処は最初から考えた上での対応をすることも重要でしょうが。また、税金を意識してクロス的な売買を利用するような方法も検討すればよいと思います。
長期的に株式を運用対象に組み入れるという点は同意するものの、ただ「持っている」だけではよくないということ、ある程度の売買タイミングは検討した方がよいことは著者とは見解が異なります。
また、社債投資のリスクを強調している点もやや疑問です。無論、国債とは異なる個別企業に投資するというリスクはあるわけです。また、適切な時価で売買しにくいという流動性のリスクもあります。が、ヤオハンやマイカルの社債の例から「お勧めできない」と強調するのはどうなのか?。格付けも信用できない面もありますが、格付けこどによるデフォルトの可能性の資料でも示されていればある程度は納得できるのですが、そういうものは示されていませんし。
さらに例を挙げるということで言えば、いわゆる「セブンイレブンの伝説」的なもの(本書ではソニーです。○○に××を△△円で買っていたら今は□□円になっている、という類の例を持ち出していること。こういう例はほとんどの場合、現実的ではないです。いつも使っていないような証券会社で買って、買ったこと自体をずっと忘れてしまっていたような場合ならありえるかもしれませんが。
また、投資関係の詐欺などと関わって「うまい話はない」ことも強調されています。これについても趣旨はよくわかります。が、マーケットでは個人投資家も活用できる「うまい話」がまれにあるのです。IPOなんがが代表的です。新発の転換社債なんかもこれに近いです。無論リスクはありますが、かなり自分の注意で安全度を高めることはそれなりに可能です。この「うまい話」をどう見分けるかも投資の収益率を向上させるためのポイントにはなると思います。ただ、これは本書の基本的な趣旨とはずれますけど。
それから、これはかなり重要な点だと思うのですが、本書は投資の楽しさということにふれている点が少ないです。マネー誌なんか「有害」と言い切ってしまってますし。週刊誌感覚で「楽しみ」として読む分にはマネー誌は悪くありません。また、個別銘柄についてあれこれ考えて売買するのも、細かいポジジョンでデイトレードをするのも、楽しいものです。デイトレなんか、趣味としては否定しないと言いつつ、基本的には否定的なスタンスですし。また、資産を守るという視点では、逆指値とかオプションなんかの活用は有効だと思うのですが、まったくふれられていません(入門書的な本なので、そこまでは範囲でないということかもしれませんが)。
投資によって様々な視野や視点が広がったり、人とのつながりが広がったりするというのは、副次的ではありますが、かなり大きな意味、意義があるのですが、これらの点についての内容も乏しいです。
ということで、本書の最新版は全体の趣旨はよくわかるり「悪書」ではないものの、その構成や個々の内容から「資産運用の教科書」として無条件で薦められるものにはなっていないと感じました。昔の版の方がよかったです。こう感じるのは、自分自身の投資の経験がそれなりに蓄積されてきたからかもしれません。
ということで、これは自分で買った本ですけど、オークション行きですね。