「赤ちゃんになる…っていうレッスンをやったじゃない❗あれをやればいいんだよ。大丈夫だよ❗」
Mちゃんは、額にうっすらと汗をかいているのに、小さく震えている。
…大丈夫だろうか?
「Mさん、監督さんが呼んでます」
助監督さんが、Mちゃんを呼びに来た。
そして、しばらく帰って来ませんでした。
ーー結果から言うと、Mちゃんは、無事に『泣き叫ぶ』を演じきりました。
その日、監督さんに呼ばれて何があったのか…。後からMちゃんに聞いた話しなのですが…、
監督さんは、何も言わず、Mちゃんに撮影風景を見せてくれていたそうです。
…それだけです。
ただ、Mちゃんの側の気持ちの変化としては、
主演の俳優さんのすごい勢い。
出てきてすぐに死んでしまう役の人。
少しのセリフでも、号泣する人。
走り回るスタッフさん。
本当にたくさんの人たちがこの作品を作りあげてるんだ…と、しみじみ感じたとか…。
『やるしかない‼️』
という覚悟みたいなものが湧いて来たそうです。
監督さんはMちゃんを見抜いていたのか…もしくは、一か八か…出来る子か出来ない子なのかを賭けたのか…。
(ちなみに、私は、後半だと思います)
出来上がった作品を見たら、Mちゃんの演技は絶品でした。
しかも、自信満々じゃない演技が、尚一層リアルでそれなりの迫力があるんです。
監督さんは、そこまで見抜いていたのかな…?