ご存知池波正太郎の仕掛人シリーズ。鬼平犯科帖、剣客商売の人気シリーズと
肩を並べるシリーズ物だ。
鬼平を読み終えたので、本シリーズに移った。
鬼平は長谷川平蔵、剣客は小兵衛と息子が抜群の剣と推理力を働かせる。
本シリーズは鍼医 梅安と相棒彦次郎が組んで依頼された悪人殺しを果たす。
起こり(依頼人)、蔓(指図人)、仕掛け人(実行者)は著者池波の造語らしい
が、生きていては為にならないとゆう輩を、吹矢と針で仕留める。
しかも実行者を悟られないように行うのが条件だ。
仕掛け人は起こりのことを詮索しない。依頼の所以を聞いてはならない。という
のが掟なのだが、そこは物語である。仕留められる者がどれほど悪かったかを描
写せねば話が成立しない。やられるものの警戒心、実行現場の意外性などに工夫が多い。
人気TVシリーズになったが、経緯は小説、実行段階の描写は映像にそれぞれ一
日の長があるように見える。
ある物語で、事件が一件落着し、岡崎から東海道を下るさい、最後の一行に「この先の芋川のうどんがいけるんだよ」とあったが、刈谷の今川町のひもかわうどんのことである。たった一行のことだが、さすがに良く調べているなあと感服。