2強体制崩壊か?!

 フェラーリとルノーの話ではなく、今日は、カメラ、しかもDSLR (Digital style Single Lens Reflex = デジタル方式一眼レフ)のお話です。つまり、ニコンとキヤノンが長らく独占してきたDSLR市場にソニーが参入したことで、その2強体制に変化が出てきたというお話です。こちらには、2強体制はすでに崩壊し、群雄割拠の時代に突入しそうだなどと書かれていますが、果たしてそうなのかを、考えてみたいと思います。

 先に紹介したBNCランキングのページをご覧頂くと、現況がよくお分かりいただけることと思います。個々のモデルのデータではなく、ページの下から1/4程のところにあるメーカー別のシェア推移のグラフに注目していただきたいと思います。

 ソニーはα100の販売が本格的になった7月には21.6%のシェアを獲得。オリンパスとペンタックスをあっさりと抜き去りニコンの27.4%に肉薄する第3位のシェアを獲得しています。2強の一角であるニコンが5%程シェアを落としてはいますが、目に付くのは20%と大きく下落したキャノンのシェアです。先のページの上から1/3程のところにある機種別のシェア推移を見れば、その原因がEOS KissデジタルNがα100に「食われた」ためであることが一目ですね。

 面白いのが、7/17にα100のシェアが35%を超えて初期のピークに達した後は急降下し、それに伴いKissデジタルNがシェアを回復してきていることです。車の新車効果は少なくとも数ヶ月は続くものですが、DSLRの新機種効果はわずか数週間しか持続しないようです。今年末まで様子をじっくり見てみたいものです。

 さて、元来SLR (Single Lens Reflex = 一眼レフ。デジタル方式、フィルム方式を問わないこととして話を進めます)は、カメラボディ本体だけではなく、魚眼レンズ、超広角レンズから超望遠レンズといった30~40本ものレンズ、モータードライブ(かつてのプロ用フィルム方式一眼レフの必須アイテム)、ストロボ、接写用装置など、膨大な周辺機器をそろえたシステムをの一部であって、そのシステムを構築してこそはじめてボディ本体としてのSLRが機能するものなのです。

 ですから既存のSLRメーカーは長い年月をかけてそのシステムを構築し、もっとも大きく信頼性の高いシステムを完成させた2社、つまりニコンとキャノンとがSLRの2強として君臨し、多くのプロの写真家、カメラマンに愛用されることとなったわけです。その点ソニーの場合には、新規参入とは言いながらもコニカミノルタのシステムをそのまま引き継いでいますから、SLR事業スタート時点からすでにシステムが完成しているという、これまでには例のない形での参入となっているわけです。

 それがどんなジャンルのものであっても、新規に参入したメーカーの製品といえば、性能・価格・デザインはよいけれど、果たしてその信頼性(故障しないか)はどうなのか、アフターサービスの体制(機械は必ず故障します。故障とまでは行かなくてもカメラは車と同様メインテナンスが必要です)は万全なのかと心配になるところですが、アフターサービスについて言えば、今回のソニーに関してはまずは心配はないと言っても良さそうです。サービス部門までコニカミノルタから引き継いでいますので。

 問題はアフターサービスが必要になる頻度に大きく影響する「信頼性」です。これについてはデータを持っていませんので確たることは申し上げることはできませんが、戦場や宇宙、局地や高山といった過酷な環境、1秒を争い確実な記録を確保しなければならない報道の第一線で半世紀もの間使われ鍛え上げられてきたカメラ(SLRシステム)と、家族旅行のお供と記念写真のためのカメラとの違いがあるのではないでしょうかと言っては失礼に過ぎるでしょうか。

 α100はその性能から言えばなかなかお買い得ですので、いま話題のDSLRを購入したいと思っている方で、SONYブランドに惹かれる方は購入しても後悔することはないと思います。もっとも、その主たる用途が家族旅行のお供と記念写真のためならば、ということですが。「話題の商品だから買う」のではなく、もし、本格的に写真を撮ってみたい、趣味として写真を始めてみたいという方の場合には、さらに先をお読みいただきたいと思います。

 ソニーもこれからα100の上位機種を発売するものと思われますが、2強と呼ばれるニコン、キヤノンのSLRシステム全体とソニーのそれを比較してみて欲しいのです。超広角から超望遠まで、高価だけれど明るいレンズからちょっと暗いけれどお手頃価格のものまで、両社ともにソニーの倍程のレンズをラインナップしています。お望みならば、同じレンズが使えるフィルム方式のSLRもあります(中古も高級機種から普及モデルまで山ほど市場に出ています)。

 最後に、α100をお買いになりたいという方にアドバイス。カメラ、特にSLRはレンズが命です。ですからレンズは最初からよいものを購入することをお勧めします。つま「りレンズキット」と呼ばれるカメラ本体とレンズがセットになったものではなく、カメラ本体とレンズを別々に購入するのです。お勧めのレンズはなんと言ってもCarl Zeiss Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZAです。少々高価ですが、このレンズを使うためにα100を買う、というのもありなくらいのレンズです。DT 18-200mm F3.5-6.3はちょっと暗いですがまずまず。α100に装着すると広角側が多少物足りない感じではありますが24-105mm F3.5-4.5も選択肢に入れてよいと思います。

 こうしてみると最初の1本を選ぼうとすると、ソニーのラインナップがコニカミノルタの資産を引き継いだとは言え、ニコンやキヤノンと比べると見劣りするのがよくわかります。これがプロユースのカメラを長年作り続けて来たメーカーとコンシューマユース中心のメーカーの違いということなのでしょうね。

今日の記事の中で登場したメーカーのWebsiteをご紹介しておきます。既に申し上げましたが、カメラ単体ではなくDSLRとしてもシステム全体をじっくりと比較していただきたいと思います。

ニコン
キヤノン
ソニー

今日の1枚は、福島の田園風景。
Nikon D200 AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G
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