デジタル一眼、ミラーレス一眼、EVIL

 Yahoo! Newsに「デジタルカメラ ミラーレス好調 小型軽量で高画質」(毎日新聞)と云う記事登場(see here)。郷秋<Gauche>も19日に同様の記事を書いたばかりだが(see more)、一般紙でも話題になるほど「ミラーレス」が売れ、注目を集めていると云うことなのだろう。Yahoo! News掲載の記事にあるグラフを見れば一目だが、ソニーがNEX3&5を発売して以降、確かに顕著な変化があるのだ。

 ところで件の記事タイトルにもなった「ミラーレス」(記事の中では「ミラーレス一眼」だが、この名前、郷秋<Gauche>はどうにも気になって仕方がない。

 この手のカメラの名称のベースになっているのが「一眼レフ」であるが、この「一眼レフ」は、撮影用とファインダー用に二つのレンズを持ち、かつファインダー用に鏡(ミラー)を使ったレフレックス機構を持つ「二眼レフ」に対して、レフレックス機構を用いることで撮影用とファインダー用のレンズを一つのレンズで共用する形式のカメラを指している。

 この「一眼レフ」が高級カメラの代名詞になり40年後、フィルムがイメージセンサーに置き換えられた時に「デジタル一眼レフ」と云う言葉が登場した。この名称はフィルムではなく、イメージセンサー(撮像素子)と記憶媒体(CFなどのメモリカード)を使う形式であるために「一眼レフ」の前に「デジタル」の後を追加した、わかり易い命名であった。

 問題はその後である。一眼レフに形は近いものの、一眼レフの最大の特徴であったレフレックス機構とペンタプリズム(あるいはペンタミラー)を排し、電子ビューファインダーで撮影画像を確認する方式のデジタルカメラが登場した(Lumix DMC-G1)。これがEVIL(Electronic Viewfinder with Interchangeable Lensの省略形)だが、何故か日本では「一眼レフ」のレフの二文字を外して「デジタル一眼」あるいは「ミラーレス」と呼ばれた。

 この時に付けられた「デジタル一眼」「ミラーレス」から「ミラーレス一眼」と云う名前が派生し現在に至っているのだが「デジタル一眼」「ミラーレス一眼」と云う名称はレフレックス機構を持たず(つまり「一眼レフ」ではない)かつ、撮影とファインダー兼用の一つのレンズしか持たない全てのカメラを意味している。その意味では例えばオリンパスのE-PL1もソニーのNEX5もルミックスGF1も「デジタル一眼」「ミラーレス一眼」だし、その他ほとんど全てのコンパクトタイプのデジタルカメラも「デジタル一眼」「ミラーレス一眼」なのである。

 レフレックス機構を持たず、レンズ交換が可能でかつコンパクトタイプのデジタルカメラよりも大きなイメージセンサー(マイクロフォーサーズもしくはAPS-C)を持ち、光学系であるか電子式であるかを問わずファインダーを持たずにモニターを用いて撮影画像の確認とピント合わせをするカメラに対して、その成り立ちを簡潔に表す名称が必要とされているのだが、これがないまま「この種」のカメラが急激に増殖している。

 しかしだ、レフレックス機構を有する光学ファインダーにより正確なピント合わせとフレーミングが可能で、かつ両手とファインダー接眼部の三点支持により手振れを最小限にとどめることのできる「一眼レフ」と「デジタル一眼」はまったく違う種類のカメラであるということを認識しなければならない。そのためには「一眼レフ」とはまったく違った名前とカテゴリが与えられる必要がある。そうじゃないと、「一眼レフ」の代用品と誤解して「デジタル一眼」を購入して、コンパクトタイプデジタルカメラと大きく違わない出来栄えにがっかりすることになるのである。

 例えばオリンパスのE-P2やE-PL1、ソニーのENX3 or 5、あるいはルミックスGF1の購入を考えている方に郷秋<Gauche>は申し上げておく。これらの「デジタル一眼」とか「ミラーレス一眼」と名乗るカメラは、あくまでもレンズ交換が可能な「ちょっと大きなコンデジ(コンパクトタイプノデジタルカメラ)」であって、デジタル一眼レフの代りになるものではありません。

 確かに35mm換算(以下、同様)で35mm前後の準広角単焦点標準レンズもしくは28-70mm程度の標準ズームレンズを使用する限りにおいては「コンデジ」よりは明らかに綺麗な写真を撮る事ができますが、150mm以上の望遠レンズやマクロレンズを使った撮影においてはかなりのスキルのある方以外の場合、相当な確立で手ブレやピンポケでがっかりすることだろうと云っておきます。理由は先にも書いたとおりモニター上でのフレーミングとピント合わせ、手ブレが起きて当然の撮影スタイル(フォーム)によるものです。

 そんなこんなで今すぐにでもその成り立ちとスタイルに相応しい名前がほしいところだがが、「一眼レフ」の二強であるニコンとキヤノンから、いま「デジタル一眼」とか「ミラーレス一眼」と呼ばれているタイプのカメラが登場した時に、各々が自社の「一眼レフ」と区別する為に相応しい名前を付けてくれるものと、大いに期待したい郷秋<Gauche>である。

注:「デジタル一眼」や「ミラーレス一眼」を否定するものではありません。郷秋<Gauche>自身もオリンパスE-P2のユーザーであり、一眼レフでは大仰過ぎるしコンパクトタイプでは物足りない時、E-P2がその性能をもっとも発揮できるシーンで活躍しています。


 見かけることの少ない胡麻の花です。あの小さな胡麻粒からは想像のつかない綺麗な華を咲かせます。「誤魔化す」と云う言葉がありますが、菓子の材料として使う米粉、小麦粉などの質が悪いと出来上がったものの味も落ちますが、そんな米粉、小麦粉にも胡麻を混ぜると風味良くなることから「胡麻菓子」が転じて「誤魔化し」となったということです。なるほど。
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恩田の森、更新

本日、恩田の森で撮影いたしました写真をこちらに掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
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