神奈川新聞に大佛次郎の随筆が掲載


 愛すべき神奈川新聞に、大佛大仏次郎(1897-1973。だいぶつじろうに非ず。おさらぎじろう)の随筆が登場。向こう一年間、毎週土曜日に掲載されるとのこと。

 元を質せば横浜生まれの大佛が1958年から72年にかけて同紙の一面に掲載した随筆「ちいさい隅」。掲載された全529編の中から選りすぐりの52編が一年にわたり掲載されるとの事。タイトルカットや題目、自筆署名を含めて当時掲載されたままの再掲との事。

 同じ紙面に「大佛次郎と神奈川新聞」(元同紙論説主幹加藤隆氏)が掲載されている。その中に優れたエッセイストの条件としてフランス文学者河盛好蔵氏の言葉が引用されている。
 「すぐれたエッセイストであるためには、まず文章に巧みな上に、深い教養と、豊かな人生経験と、広い見聞の持主であることを必要とするが、大佛さんはそのいずれも備えている上に、洗練された趣味の持主でもある」

 これから一年間、郷秋<Gauche>の駄文をより良き駄文とするための手本としてこれに増す物はないと楽しみにするところだが、「巧みな文章」を真似る、学ぶことは出来ても「深い教養と、豊かな人生経験と、広い見聞」はそう易々と真似ることは出来ないなぁ。優れているかどうかは別としても、趣味を持っている点ではその条件の「ちいさい隅」をかすってはいるか。

 気になったのが、河盛好蔵氏が書くところの「洗練された趣味」なのだが、調べてみると無類の猫好きであったらしい。猫好きは趣味か、はたまた洗練された猫好きとは・・・。Wikipediaには「読むために購入するほか、稀少本や豪華本を蒐集することを趣味としている側面もあった」とも書かれている。集書家でもあったようだが、洗練された蔵書とはどのようであったのか、見てみたいものである。

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