goo blog サービス終了のお知らせ 

FUJIFILMから大口径標準ズームレンズが登場

 うっかり見落としておりましたが、DPREVIEWに「Hands-on with Fujifilm's new XF 16-55mm F2.8 R LM WR lens」(焦点距離はフルフレーム換算24-82mm)と云う記事が掲載されておりました(Click here)。

 あれれ、そんなレンズがあったかなと思ってFUJIFILMのWebsiteを確認しましたがありません。Global siteには掲載されておりますので、どうやら海外のみでの発表のようです。日本国内でもFUJIFILM XマウントF2.8通しの標準ズームレンズの登場を待っている方は多いのではないかと思うのですが・・・

 F2.8通しのズームレンズと云えばプロ御用達の高級レンズ。性能は抜群ですが、大きく重たくそして高価です。それでも欲しくなるのはそれだけ高性能だと云う事です。あるいは、アマチュアの場合にはこれさえ持っていれば良い写真が撮れる(かも知れない)と云うお守り、プロの場合にはこのくらいのレンズを使わないと様にならないと云う理由もあるかも知れません。

 フィルムの時代にはISO 400のKodak TRI X辺りが通常使い得る高感度フィルムの限界(1600のフィルムや増感現像と云う手はありましたが)でしたので、開放F値2.8と云うのは実に有り難いレンズであった訳です。でもデジタル時代の今日に至っては、肉眼では真っ暗にしか見えないような場所でもシャッターボタンを押せば、まるで昼間に撮影したかのように写っていたりするほどに高感度性能が劇的に向上しています。

 そうなると、果たして大きく重たく高価なのとトレードオフする程の価値がF2.8にあるのかと思う訳ですね。ズームレンズの場合、大口径と云われるF2.8と一般的な仕様のF5.6との差は絞り2段分、ISO感度で云えば100と400の差です。つまり、カメラ側のISO感度を400にセットすれば開放F値F5.6のレンズでも同2.8のレンズと同じシャッタースピードで撮影できるのです。

 そもそも開放F値F2.8のレンズだからと云っていつもいつも絞り開放で撮る訳ではありません。F2.8と引き換えに解像度、周辺光量が犠牲にされていますので、何としても開放でなければならない特別な場合を除いては5.6~8まで絞って使うのが一般的だからです。ただし、先にも書いたように大きく重たくそれでいて高価なだけの事はあり、一般的なF5.6のレンズと比較すれば開放時であっても解像度や周辺光量はかなり良好ですし、各種の収差も良く抑えられていますのでそれなりの意味は勿論ある訳です。

 要は性能と大きさ・重さ、価格とのバランスの問題ですね。そして撮影者がそこまでの性能を必要としているのか、あるいはその性能を使い切るだけの技量があるのかと云う事です。デジタル時代も特にここ1、2年の高感度性能の向上は著しく、ISO 100と400の差を識別するのはまったく困難であると云っても良い程ですが、さすがに3200と12800の違いは判ったりもするものです。ただ、プロがF2.8のレンズをを欲しがるのは、明るさの問題以上に解像度や周辺光量、良好な各種収差などの性能を求めての事なのだと思います。アマチュアの場合には重たいF2.8と引き換えに財布は軽くなってしまいますが、プロの場合には経費で落ちるし(ですか?)、そのレンズで稼げば良いわけですしね。



 と云う訳で今日の一枚は、フィルムの時代と比べるとその価値が下がっていると思われるF2.8のレンズと、このくらいがちょうど良いバランスなのではないかと思うF4通しの標準ズームレンズ、そしてF値にこだわらなければこんなにコンパクトになると云う例。

 右から(並べ方が逆でした)Ai AF-S Zoom Nikkor ED 28-70mm F2.8D(IF) (フィルムのカメラでも使える絞りリングがあるDタイプながら超音波モーター駆動と云う過渡期のレンズ)、AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR(唯一の現行モデル。手振補正機構付で、望遠側に若干レンジが広い)、そして実にコンパクトなAF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5(VRが付かない旧モデル)である。ちなみにお値段はF2.8の20万円(当時)から順に半分、更に半分となります。
参考:ダイニングテーブルの上で、ISO 3200、焦点距離170mm、F5.6、1/20秒、手持ち(ただしテーブルに肘着き)と、実に安易な状況で撮影しています。

コメント ( 0 ) | Trackback (  )