弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

児童虐待について 英米の市民の考え方

2011年09月21日 | Law&Order

Law&Orderのシリーズ15の11話をみて
ディードの他人のための犯罪を思い出しました。

児童虐待は常習的になり、しかも家庭内で起こることが
多く、実際に事件になった時には取り返しがつかないことが
多いようです。
日本ではまだそれほど多くはありませんが、英米では
深刻な社会問題になっています。

Law&Orderの場合はカウンセラーが被告人になっています。
検察は警察に報告すればといいますが、
実際にはこういう犯罪者の場合、巧妙なので警察に報告しても
何もできないはずなのです。

ディードでも無罪になりました。
Law&Orderでも無罪になりました。
これが陪審制のいいところでもあり悪いところでもあります。
アーサー・ブタンチ地方検事が、陪審員に代表される市民が
「凶悪犯に法は無力と考えている」というのは
そのとおりです。
こういう問題に「答えがない」というのは真実です。
やはり、地方検事が「要は被害者が死に値するかどうか」が
ポイントだと弁護士の言葉として紹介していましたが、
そういうことなのだと思います。
ただし、これは市民の感覚です。
私は、どちらかというと市民の感覚を大事にしたいと思います。

また、今回はビデオを証拠として提出するかどうかについて
メリット・デメリットが議論されていました。
実際、何を証拠として出すか出さないかは極めて重要なことです。
弁護士の中にはそういうことに無頓着な人がいますが、
それは法曹として失格なのです。

何か決まった事実がある訳ではありません。
見通しを立てながら、徐々に真実に近づいて行くのです。
そういう作業が検事たちの内部でのやりとりで明らかにされています。

弁護士としての訴訟活動を考えるにあたって勉強になることが
たくさんあります。


ニューパルツの同性婚証明書とLaw&Order知事の恋人

2011年09月20日 | Law&Order

海外ドラマは一度見ただけでは理解できないことは
判事ディードの解説を始めたときに気づきました。

ということでLaw&Orderも録画してみるようにしています。
特にLaw&Orderはスピーディなので、さらにその思いがあります。
アメリカのABC放送(日本のNHKなどとも提携しているようです)の
朝番組(グッドモーニングアメリカ)のキャスターのロビン・ロバートさんは
アメリカの現実を知るためにLaw&Orderを録画し、最低5回は見ている
ということでした。
エクスパートというべき人ですらそうなのですね。

今では、ニューヨーク州でも同性婚を合法化する法律ができた(2011年)
ように法整備も整い、手続きも明確化されました。

このドラマが取り上げたニューヨーク州のニューパルツという小さな村で
緑の党から当選した若い(26歳)村長さんが同性婚について結婚証明書
を発行すると発表したのが2004年2月27日とのことです。
村長には認定証をを発行する権限がないので、結婚証明書の有効性を
巡って、ひと騒動があったようです。
Law&Orderの15シリーズの7話の知事の恋人はそこからヒントを
得たのではないでかと分析しました。

ドラマが出した結論、とりあえずは無効というのは、一つの考えなのだと
思います。

さて、この回で私が勉強したこと
1 保釈の手づづき
  保釈を認めるかどうかは検察、弁護人が裁判所に出頭して決める
  のですが、その手続きが、我々日本人にも理解できるように描写されて
  いました。 
  保釈金500万ドル、パスポートの提供が条件でした。
  パスポートを取り上げるのは、普通なのですね。
  IMF専務理事の場合もそうでしたし、イギリスではアサンジ氏の場合が
  そうでした。
  大体理解できました。

2 セリーナ検事補が大陪審の日程が入っていると言っていましたので、
  この後、大陪審で起訴をきめたのですね。
  ただ、この場面はドラマでは省略でした。

3 アメリカでは配偶者の証言免責特権があり、これが有罪証明の大きな
  障害になっているらしいことは、いろんなドラマで見ていますが、
  今回は同性婚の配偶者の場合まで、免責特権を認めるべきかどうか
  でした。
  もちろん、法律に従った同性婚の場合は、当然認められるのでしょうが、
  このドラマでは、法律はなく(ニューヨーク州の場合、前述のとおり
  今年になってからです)、小さな村の一村長さんの独断によるものだと
  いうことが争点だったのです。
  刑事事件の裁判官が免責特権を認めたので、マッコイ検事補は、上級審
  に判断を仰ぐことにしたのです。
  このやりとりも面白かったです。

4 イギリスもそうでしたが、アメリカの裁判所の仕組みもわかりにくいですが、
  今回のドラマで少しわかりました。
  これについては、また別の機会にします。

5 折角、免責特権は認めないとの判決をもらったのに、今度は、人格を否定
  されたということで、証言を拒否されました。 
  すぐに法廷侮辱罪に問われるのですね。 
  このあたりは人間心理の問題です。

6 結局、マッコイは取引をすることにしました。
  最初は絶対にしないと強気でしたが、方針転換です。
   強い動機(会社の存続にかかわる)等はあるものの、凶器との関係が
  弱いからです(どこにでもある量産品)。
  陪審員の評決について、検察側も弁護側も自信が持てないということで
  双方歩み寄ることになったのです。
  このあたりのやりとりも参考になりました。
  交渉のときに何を材料にするか、駆け引きです。神経戦です。
  日本でも同じです(刑事では取引はありませんが、民事の和解や
  示談交渉についてです)。

7 取引が成立すると、裁判官に報告、判決の言い渡しになりますが、
  この場面は省略です。
  日本の民事事件での訴訟上の和解をイメージすれば、理解が早い
  ようです。

8 地区検事のアーサー・ブランチは政治ポスト(選挙)ですが、同性婚
  の免責特権について上級審に持ち込むことは、選挙にはマイナスに
  なることや、そういう状況での記者さんに対する説明の仕方は
  なかなかうまかったと思いました。
  (残念ながらアーサー・ブランチの英語はほとんど聞き取れませんが)

日本にいて、かなり詳細なことまで勉強できるのは嬉しいことです。


節電、何をしましたか

2011年09月19日 | 福島原発 東日本震災

結局、停電もなく、無事、夏を越えました。

世の中全体が節電したからです。

個人的にはどうか?
今年の暑さは酷いものでした。
冷房を節約しようとしても、熱中症になりそうで、
あまり成功したとはいえません。

ただ確実にできたことは、照明です。
日本は天井に主照明があって、部屋中を煌々と照らさなければ
落ち着きませんでした。
したがって海外旅行をすると、部屋の暗さが気になっていました。
ところが、節電の成果で、部屋の明るさは半分以下になりました。
そしてダウンライトとか電気スタンドなど部分照明を使うようになりました。
慣れてくると、部屋も気分も落ち着くようです。

これが私の節電生活でした。

私の地域では秋祭り中です。
夜になると神輿が帰ってきます。
神社では提灯を付けて神輿の帰りを迎えます。

節電に慣れた目には優しく映ります。

彼岸ももうすぐです。
はるか昔の幼い時代にタイムスリップしたようです。


80歳以上の人口は866万人、65歳から80歳まで2114万人

2011年09月17日 | いきいき人生

敬老の日を前に総務省が発表した高齢者推計人口によると
80歳以上の人口が866万人とのことです。
前年比38万人増ということですから
後4年弱で80歳以上の人口が1000万人になるということです。

驚きで言葉も出ません。

これはもう尋常な数字ではありません。

さらに、分析すると、65歳から80歳までの人口は何と
2114万人なのです。
2114万人という数字、信じられませんね。
65歳から80歳といえばまだまだ元気です。
そういう人たちが毎日だらだらしている(ちょっと失礼?)社会は
到底健全とはいえません。

若者に過度な負担をかけない生き方の創造に取り組むべきだと
思います。

実際には、体力も気力も衰えてきます。
誰も経験したことのない世界です。
65歳から80歳の平均的な人の健康はどうなのか、何ができるのか。
平均的80歳の人間はどこまで元気でいられるのか。
どこまで何ができるのか、
是非研究に取り組んでほしいです。

個人的には、何歳になってもできる限り頑張りたいですが、
若者のように希望に満ちた未来を思い描くことができないので
その代り何を目標に生きればいいのか
みんなで知恵を出し合いたいものです。
今から80歳になったときに備えて生き方の準備をしておかなくては
なりません。
そして、65歳から80歳はその中間期です。
中間期の生き方もあるはずです。

そういえば、葛飾北斎は75歳のときに
「90歳で絵の奥意をきわめる
100歳になれば神妙の域に達する
110歳になれば・・」
とひたすら画技の向上を思い描いていたということです。

凡人にはどこまでできるのでしょうか。
やはり何かはしなくてはならないのでは??