妻一人 子一人 と 一匹

2005.9.26 『妻一人 子一人』としてスタート
2010.3.18、2021.8.28、2023.3.26 改変

百鬼園先生

2016年07月22日 22時56分47秒 | Weblog
内田百閒の作品集を読んだ。

映画「まあだだよ」を観て、短絡的に本屋で買ったのか、はたまたこれも兄から譲り受けたものなのか、

それはどうでもよいとして、短編、中編、随筆と内容盛りだくさんであった。

その中でも『件』は最高に面白かった。この本を手にしたのは、おそらく20年以上前になると思うが、

この話だけは、はっきり覚えていた。

作家と観衆、カッコよく言うならクリエイターとオーディエンスの関係をたとえ話にして、

ギュッと短編の中に凝縮させているのではないだろうか。私のカン違いだろうが、そんな風に感じた。


『東京日記』をはじめとして、まるで夢日記のような話が満載。

なんとも言えないフシギ感あふれる文章が、次から次へと私に襲い掛かってくるといった具合だった。

数編収められている随筆もよかった。通勤電車の中でニヤニヤしていたかもしれない。


電車の待ち時間と、乗車している朝晩の数十分、こうして私は至福の時を過ごしているのである。