聴覚障害者(ちょうかくしょうがいしゃ)にも映画館(えいがかん)で日本(にっぽん)の映画(えいが)を楽(たの)しんでもらおうという試(こころ)みが、今月上旬(こんげつじょうじゅん)から始(はじ)まります。スクリーンに字幕(じまく)が浮(う)かんでいるように見(み)えるメガネ型(がた)の機器(きき)を使(つか)う試(こころ)みです。映画館(えいがかん)を経営(けいえい)する業者(ぎょうしゃ)などの団体(だんたい)「全国興行生活衛生同業組合連合会(ぜんこくこうぎょうせいかつえいせいどうぎょうくみあいれんごうかい)」(全興連(ぜんこうれん))が、東京(とうきょう)、神奈川(かながわ)、愛知(あいち)、大阪(おおさか)の4か所(しょ)の劇場(げきじょう)で、各(かく)10台(だい)ほどの機器(きき)を置(お)き、無料(むりょう)で貸(か)し出(だ)します。大人(おとな)を対象(たいしょう)にした約(やく)2か月間(げつかん)の試験的(しけんてき)な取(と)り組(く)みですが、利用者(りようしゃ)にはアンケートで感想(かんそう)を聞(き)き、システムの改良(かいりょう)を目指(めざ)します。
映画(えいが)のバリアフリー上映(じょうえい)を目指(めざ)すNPO法人(ほうじん)「メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)」(東京都(とうきょうと))が、作品(さくひん)の上映(じょうえい)と同時進行(どうじしんこう)で端末(たんまつ)に字幕(じまく)を表示(ひょうじ)できる無料(むりょう)アプリを開発(かいはつ)しました。メガネ型機器(がたきき)にアプリをダウンロードしてかけると、スクリーン上(じょう)に字幕(じまく)が浮(う)かんで見(み)える仕組(しく)みです。
MASCによると、2015年(ねん)12月(がつ)からの1年間(ねんかん)に公開(こうかい)された日本(にっぽん)の映画(えいが)610作品(さくひん)のうち、13%の81作品(さくひん)には字幕(じまく)が付(つ)いています。しかし健常者(けんじょうしゃ)の観客(かんきゃく)から「画面(がめん)に集中(しゅうちゅう)できない」と言(い)われる恐(おそ)れがあり、数回(すうかい)だけしか上映(じょうえい)されないことが多(おお)いといいます。全興連(ぜんこうれん)は障害者(しょうがいしゃ)が映画(えいが)を楽(たの)しむ機会(きかい)を広(ひろ)げようと、今回(こんかい)の取(と)り組(く)みをきっかけにシステムの普及(ふきゅう)を目指(めざ)します。
課題(かだい)は機器(きき)の値段(ねだん)です。MASCによると1台(だい)10万円(まんえん)ほどかかり、福祉(ふくし)が目的(もくてき)の機器(きき)ではないため、自治体(じちたい)などにお金(かね)を助(たす)けてもらうことが難(むずか)しいといいます。全興連(ぜんこうれん)の担当者(たんとうしゃ)は「障害者(しょうがいしゃ)が健常者(けんじょうしゃ)と同(おな)じように映画(えいが)を楽(たの)しめる環境(かんきょう)を整(ととの)えたい」、MASCの担当者(たんとうしゃ)も「このシステムを発展(はってん)させれば、外国語(がいこくご)の字幕(じまく)も表示(ひょうじ)でき、外国人(がいこくじん)も映画館(えいがかん)で日本(にっぽん)の映画(えいが)を見(み)られるようになる」と話(はな)しています。
毎日小学生新聞 2017年9月5日