東京都の舛添要一知事は本紙の単独インタビューに応じ、二〇二〇年東京パラリンピックを支えるボランティアとして、障害のある人とない人が二人一組で、海外から訪れる障害者を迎える仕組みをつくる意向を明らかにした。「健常者だけだと分からない面もあると思う」と述べ、ニーズに合った支援ができるよう、障害者の視点をボランティアに生かす意義を強調した。 (北爪三記、石川修巳)
舛添知事は、車いす利用者を迎えるケースを例に「英語を話せる健常者と車いす利用の障害者が案内すれば、ルートや移動のスピードなど一番快適なものが分かる」と説明。
同様に、ボランティアには高齢者や日本語が堪能な在日外国人にも参加を呼び掛け、ニーズに応えられるようにする考えを示した。
ボランティアの育成については、英国マンチェスターにある国際パラリンピック委員会(IPC)の教育部門が持つ訓練プログラムの活用に意欲を示した。今後、職員を現地に派遣することなどを検討しているという。
バリアフリーについて、舛添知事は「ハードは今からどんどんやっていかないといけない」と強調。ソフト面は「バリアーがあっても周りの人が率先して手伝ってくれれば、バリアーがないのと同じ。こういうことをみんなが自然体でできるようになることが必要だと思う」と話した。
◆一問一答
-東京都が八月に実施した都民世論調査で、45%が障害者スポーツに「関心がある」と答えた。
メディアにどれだけ障害者スポーツが取り上げられるかというと、健常者に比べて圧倒的に少ない。それでも半分が「関心がある」のは、現段階では非常に高い数字だと思う。直接触れないと関心が高まらないんで、車いすバスケットなどの障害者スポーツ体験を学校などでやっていく。
-障害者スポーツに触れる機会として、国際パラリンピック委員会公認の国際大会を積極的に招致する方針を示している。
一番良い例がラグビーで、日本代表がワールドカップで大活躍し、五郎丸ブームも起こった。世界で活躍するスタープレーヤーがやってくる効果はすごいと思うので、ぜひそういう機会を増やしていきたい。
-障害者スポーツ施設の充実が課題だ。
(二〇二〇年大会は)年が明けるともう四年後。区市町村を含めた既存の体育施設をバリアフリー化していく。その関連予算の措置をして、本年度は二十三カ所を手当てした。一六年度は障害者スポーツの拠点の一つとして、五つの特別支援学校を選んで施設を使えるようにする。
今からの時代、健常者しか使えない施設を造るのは間違っているんで、健常者も障害者も許容できるようにしていく。
-パラリンピックのボランティア育成は?
障害の重さ、部位によってどういうサポートが必要かというのは、そう簡単じゃない。健常者だけだと分からない面があると思うんで、実際に障害者にボランティアになってもらいたい。障害者と健常者が組んで、障害者のおもてなしをする。バリアーがあっても周りが率先して手伝えば、バリアーがないのと同じ。みんなが自然体でできるようにすることが必要だと思っている。
東京パラリンピックについて語る舛添知事
2015年12月30日 東京新聞