来年5月21日スタートの裁判員制度に向けた模擬裁判が29日、地裁で始まり、聴覚に障害がある西京区の男性(59)が裁判員を選ぶ選任手続きに参加した。障害者が同手続きに参加したケースを検証するのが狙いだったが、男性は「裁判官たちのしゃべるスピードが速く、難解な用語は手話通訳では理解しにくかった」などと感想を述べ、改善すべき課題が浮かび上がる結果となった。
今回の模擬裁判は、飲酒運転で交通死亡事故を起こし、危険運転致死罪に問われた49歳の男が起訴事実を認めたとの想定で、量刑判断に争点を絞って行われ、30日には審理と評議を経て判決が言い渡される。
この日は、20人の裁判員候補者が集まり、選任手続きの説明や裁判官らによる個別質問を受けた。障害の男性には京都市聴覚言語障害センターの手話通訳士が付き添った。
終了後、男性は「やりとりには聞き慣れない言葉が多かった」と振り返り、手話通訳士も「普段の手話では話の内容の結果から先に伝えるが、順番が逆で理解しづらかったと思う」と指摘。結局、男性は裁判員に選ばれなかったが、「本番では、手続きに関する資料を事前に提供してほしい」と訴えていた。
手話通訳士は9人で議論する評議について「複数の人が同時にしゃべった状況では、だれの意見を手話にしているのか、分かりにくくなる」とも言及した。
制度スタート後、手話通訳者や要約筆記者が聴覚障害者をサポートすることはほぼ決定しているといい、地裁は「男性の意見は生かしたい」としている。
今回の模擬裁判は、飲酒運転で交通死亡事故を起こし、危険運転致死罪に問われた49歳の男が起訴事実を認めたとの想定で、量刑判断に争点を絞って行われ、30日には審理と評議を経て判決が言い渡される。
この日は、20人の裁判員候補者が集まり、選任手続きの説明や裁判官らによる個別質問を受けた。障害の男性には京都市聴覚言語障害センターの手話通訳士が付き添った。
終了後、男性は「やりとりには聞き慣れない言葉が多かった」と振り返り、手話通訳士も「普段の手話では話の内容の結果から先に伝えるが、順番が逆で理解しづらかったと思う」と指摘。結局、男性は裁判員に選ばれなかったが、「本番では、手続きに関する資料を事前に提供してほしい」と訴えていた。
手話通訳士は9人で議論する評議について「複数の人が同時にしゃべった状況では、だれの意見を手話にしているのか、分かりにくくなる」とも言及した。
制度スタート後、手話通訳者や要約筆記者が聴覚障害者をサポートすることはほぼ決定しているといい、地裁は「男性の意見は生かしたい」としている。