昨年度 法定引き上げ 背景に
石川労働局は、二〇一四年度の県内ハローワークを通じた障害者の就職状況をまとめた。障害者全体の就職件数は一三年度から3・2%多い千百四十件となり、五年連続で過去最高を更新した。景気の回復に加えて、一三年四月の法定雇用率引き上げが背景にある。(松本浩司)
一四年度の新規求職申し込みは千八百四十四件で、就職率は61・8%となった。
就職件数は増加傾向にあり、リーマン・ショックのあおりで〇九年度に落ち込んで以降は再び上昇基調にある。〇四年度は四百七十九件だったが、この十年で二・四倍に急増している格好だ。
障害の種別でみた就職件数の内訳では、「身体」が一三年度比3・1%増の三百三十七件、「知的」が15・5%減の百三十一件、近年増える「精神」が5・5%増の六百三十一件、発達障害や高次脳機能障害、難治性疾患といった「その他」が64%増の四十一件だった。
障害者全体を産業別にみると、医療・福祉が最多の35・9%を占め、15・4%の製造業、11・9%の卸売業・小売業と続く。
石川労働局職業対策課の担当者は、1・8%から2%への法定雇用率アップ(民間企業)と並び、企業側の意識変化を指摘。「リーマン・ショック後は正社員維持で精いっぱいの状況だったが、仕事が増えて人手不足感があり、各部署の仕事を集めて障害者を雇用しようと、企業が社会的責任を果たすようになった」と分析する。
続く開業効果 求人全国5位
宿泊・飲食業 4月も高水準
県内の四月の有効求人倍率(季節調整値)は一・四七倍で、全国五位だった。全国二位だった前月に比べ〇・〇七ポイント下がったが、北陸新幹線開業の好影響が県内全域に広がり、高い水準を維持。特に宿泊や飲食の業界で求人増が際立っている。石川労働局が二十九日に発表した。
宿泊業や飲食業は新幹線効果が後押しし、前年同月比21%増。宿泊業は金沢市内を中心に奥能登や南加賀でも好調で、求人が活発に動いている。飲食業はさらに堅調で、中島理章局長は「特に金沢では大口求人がなくても、数字が伸びている」と説明。観光客の入り込みがタクシー業界の求人増にも結び付く好循環にも触れた。
一方で、有効求人倍率が、前月比〇・〇七ポイント減となった要因として、派遣求人の低下を指摘。中島局長は「サービス業の派遣求人が減っている。一過性なのか、今後の動きを注視したい」と述べた。
有効求人倍率の一倍超えは二十五カ月連続。雇用情勢判断は「一部に厳しさが残るものの、着実に改善している」と、五カ月連続で同じ表現を用いた。
北陸三県の状況をみると、富山も石川と並ぶ一・四七倍で全国五位。福井は全国二位だった前月から、さらに数字を伸ばして一・五七倍と順位を維持する。全国平均は一・一七倍だった。 (前口憲幸)
パート労働相談 昨年度は5倍超 「雇う側」の関心高く
各職場での公正な待遇の確保を目指し、四月に施行された「改正パートタイム労働法」への相談が増えている。石川労働局によると、二〇一三年度は五十八件だったが、施行を直前に控えた一四年度は五倍超の三百七件に急増。その大半は事業主からで「雇う側」の関心の高さを示す。
パートタイム労働者は、一週間の労働時間が、通常の従業員よりも短い労働者。アルバイトや嘱託、臨時社員などと呼び方が異なっても対象になる。
法改正により、事業主による説明義務や相談窓口の充実などを明確化。規定に基づき、さまざまな報告を義務づけ、違反事業者への過料も新設した。
一四年度に寄せられた相談三百七件のうち、七割に迫る二百七件が事業主から。労働条件の文書交付や賃金、正規労働者への転換などをテーマにした問い合わせが多かった。
2015年5月30日 中日新聞