「ADHD」は、不注意、多動性、衝動性を特徴とする症状が見られる発達障がいのひとつです。
近年、成人のADHD当事者の存在と 日常生活における困難に注目が集まっているなか、障害の有無にかかわらず、個性を尊重し合いながら 共生する社会の実現を目指し、「障害者差別解消法 (※)」が2016年4月に施行されます。
これにより、日常生活に困難を感じている当事者への社会的サポートの更なる推進が期待されているものの、今回の調査では ADHDの認知度は5割強にとどまっていることが判明、まずは ADHD自体の認知を高めることの必要性が浮き彫りとなっています。
※「障害者差別解消法」…全ての穀人が障害の有無に寄って分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、定められた法律。2016年4月施行
大人のADHDに関する認知度調査・概要
目的:大人のADHDをとりまく環境の現状・課題を明らかにする
調査主体:日本イーライリリー株式会社
監修:東京都小児総合医療センター顧問:市川宏伸先生・NPO法人発達障害をもつ大人の会代表:広野ゆい氏
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査(マクロミルモニタを利用)
調査対象:20~60代の男女400名(発達障害と診断されたことがある方を除く)
調査期間:2015年10月7日~2015年10月8日
※ 調査結果は少数点以下第2位を四捨五入しました
ADHDの認知度は5割強。約9割がADHDへの適切な対応を知らないと回答
Q.下記のことばを知っていますか?
疾患名の認知度(単一回答)(n=400)
ADHDという言葉を知っている方は、54.8%。ADHDという言葉を知っている方のなかでも、「大人になってからADHDであることに気づく方もいることを知らない(32.4%)」 「大人のADHDについて理解していない(57.5%)」 「ADHDと診断された方(成人)への適切な対応を知らない(89.5%)」と回答しました。
大人のADHDを抱える方が困っていると思うことは、「外見上は障害があることがわかりにくい」77.2%
Q.下記の内容について、大人のADHDを抱える方は、どのようなことに困っていると思いますか。
大人のADHDを抱える方が困っていると思うこと(複数回答)(n=219:ADHDという言葉を知っていると回答した方)
ADHDという言葉を知っている、と回答した方のなかで、ADHDの症状として認識が最も低いのは、「衝動買いをしてしまう(23.7%)」でした。また、大人のADHDを抱える方が困っていると思うことは、「外見上は障害があることがわかりにくい(77.2%)」でした。
8割以上が、ADHDなどの外見ではわからない「目に見えない障害」への社会の配慮は「不十分」と回答
Q.目に見えない障害であるADHDを抱える方を、周囲の方がサポートするためにどのようなことが必要だと思いますか(いくつでも)
周囲がサポートするために必要なこと(複数回答)(n=400)
外見では分からない「目に見えない障害」への社会の配慮は 「不十分だと思う」 「どちらかといえば不十分だと思う」と回答した方は計83.7%でした。
ADHDを抱える方を周囲がサポートするために必要だと思うこととして、最も多かったのは「疾患についての理解を深めること(73.8%)」でした。
「障害者差別解消法」が自分の生活に関係があると思っている人は約3割
Q.2016年4月に施行される「障害者差別解消法」は、障害を理由とする差別解消の推進を目的とした法律です。「障害者差別解消法」は、あなたの生活にどの程度関係があると思いますか。
「障害者差別解消法」との関わり(単一回答)(n=400)
障害を理由とする差別解消の推進に関する法律 「障害者差別解消法」に対して、自分の生活に関係があると思うと回答した方は31.6%でした。
◯ 市川 宏伸先生 (東京都立小児総合医療センター顧問)からのコメント
調査結果では、半数近い方がADHDという言葉を知らず、ADHDに対するただしい理解の普及ととともに、その存在そのものを広く知ってもらうことも重要だと改めて認識しました。
また、「大人になってから自分がADHDであることに気づく方もいること」を「知らない」と回答された方がいました。
実際には子どものころに見過ごされ、成人になって社会に出てから会社などでのミスが多発することで症状が顕在化し、結果的に2次障害(うつ病や不安障害等)を患い、来院されるというケースが少なくありません。
ADHDに気づかないまま、仕事や人間関係に悩み続けている当事者がより良く生きてゆく為に、一般の方々もADHDに対する理解を深めていただくことを期待しています。
◯ 広野ゆい氏 (NPO法人発達障害をもつ大人の会代表)のコメント
今回の調査で、ADHDという言葉を知っている方でも、約9割が大人のADHD当事者に対する適切な対応を「知らない」とこが明らかになりました。
ADHDは、外見からは分かりにくい為、仕事や日常生活に困難をきたしていることに気づかれにくく、本人は困っていても必要なサポートが得られないことがあります。
2016年4月に施行される「障害者差別解消法」をはじめ、法整備もなされてきているものの、今回の調査からも関心は依然として高いとはいえず、周囲の方々の理解なくして、現状を変えることは出来ないと思っています。
ひとり一人の特性にあった対応やサポートが得られる機会が増え、ADHD当事者が自分からも積極的に情報を発信できるような、それぞれの個性が輝ける社会の実現を、切に願っています。
日本イーライリリーさまが今回おこなわれた調査により、ADHDの認知度が未だ低い状態にあることが分かりました。
認知(知覚・理解・記憶・推論・問題解決などの知的活動)の能力の高い部分と、低い部分の差が大きい人のことを指す『発達凸凹』というのは、ほぼ、誰しもがあてはまる特性です。
「ADHDについて知る」ことは、ADHDだけでなく、発達凸凹、つまり、出来る限りストレスのない人間関係を築く上でも 間違いなくプラスとなってきます。
下記リンク先Webサイトにて、成人期のADHDを理解し、ただしく対処していただける情報のご紹介、ならびに、成人期ADHD当事者の日常生活における困難や 悩みを漫画にて実現した疾患啓発冊子『ブラックジャックによろしく大人のADHD編』を閲覧、またはPDFでダウンロードしていただけるので、「人間関係でストレスを感じることが多い」と感じる方は一度、ご覧になられてはいかがでしょうか。
※ 発達凸凹に適応障がいが加わることによって、狭義の発達障害となります
2015.11.30 00:00 imedi(アイメディ)