宇都宮市の障害者支援施設で入所者が暴行された事件で、警察は、施設を運営する法人が事件のあとの市の調査に対し、うその報告をしていたとして、1日にも法人とその理事長ら3人を障害者総合支援法違反の疑いで書類送検する方針です。
2月1日 NHK
宇都宮市の障害者支援施設で入所者が暴行された事件で、警察は、施設を運営する法人が事件のあとの市の調査に対し、うその報告をしていたとして、1日にも法人とその理事長ら3人を障害者総合支援法違反の疑いで書類送検する方針です。
2月1日 NHK
東京・江東区は、精神障害者の自立や社会復帰を促すため、区内の2つの施設に専任の担当者を配置してもらい、賃貸住宅の契約から生活全般までを幅広く支援する事業を始めることになりました。
この事業は、グループホームや親元などから賃貸住宅に引っ越して、地域で1人暮らしを希望する精神障害者を対象に、江東区が新年度から始めます。
まず、区内の2つの地域活動支援センターに専任の担当者を1人ずつ配置してもらいます。担当者は障害者の賃貸住宅への入居を進めるため、下見や契約の際に同行するほか、障害者の受け入れに理解のある家主の物件情報を公開したり、不動産業者を集めた説明会を通じて障害者への理解を促したりすることになっています。
また、1人暮らしを始めたあとも、さまざまなトラブルに24時間対応し、家事全般に関する支援などにもあたることにしています。
江東区は、関連する経費として940万円余りを新年度の当初予算案に計上することにしています。
2月1日 NHK
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刺殺された事件から1年半。重い脳障害のある娘を育ててきた河田真智子さん(64)=東京都目黒区=が、長女夏帆さん(30)の人生を記録した写真集「河田真智子写真集 生きる喜び」を増刷し、医療や福祉関係者に届ける活動を始めた。
夏帆さんは1987年に仮死状態で生まれ、生後2カ月で難治性「点頭てんかん」と診断された。最重度の身体障害と知的障害があり、歩行や会話はできない。真智子さんは島旅作家として働きながら、懸命に生き続ける夏帆さんの写真を2万枚以上撮影。「いつ死ぬか分からない娘の生きた証しを残そう」と、2013年に写真集「生きる喜び」を1200部、自費出版した。
写真集には、生まれたばかりの夏帆さんを取り囲む医師らの緊迫した様子、夏帆さんが野原で気持ちよさそうに日なたぼっこしている表情、自宅で呼吸困難になり救急隊員が駆けつけた時の姿など、成長過程が記録されている。
元施設職員の植松聖被告(28)は「障害者なんていなくなればいい」と主張。真智子さんは、これが障害者排除の優生思想だと知り、妙に納得したという。そういう空気は日常生活で感じた。車椅子の人が優先的に乗れるエレベーターに並んでも、先に乗り込んだ客がスペースを空けてくれず、並び続けたり、冷たい言葉を浴びせられたりもした。
社会の空気が事件を生んだとすれば、いつ自分の子が犠牲になってもおかしくない。危機感を感じ、「障害者の生きる喜びを伝えるのが夏帆の使命」と思い立った。2400部を増刷し、昨年12月、奄美看護福祉専門学校(鹿児島県奄美市)の学生に200部を届けた。「未来の看護師」たちから「気持ちを揺さぶられた」と感想を受け取り、心強く感じた。夏帆さんが31歳になる7月16日までに、医療・福祉関係者に1000部を届けたいと考えている。
真智子さんは「障害は特別なことでなく、かわいそうでもない。誰にでも、かけがえのない日常と愛があることを知ってほしい。知ることが事件の再発防止の一歩になるはず」と話す。1部1200円(送料別)で購入希望者に郵送する。問い合わせはメール(kawadamachiko@gmail.com)で。
毎日新聞 2018年1月31日
生活相談や一人暮らし体験も
障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、奈良県生駒市は今年1月から、障害者の独り立ちや集団生活を後押しする支援事業を始めた。家族が病気や事故に見舞われた際に障害者を一時的に保護したり、将来的にグループホームへの入所を考えている人に集団生活を体験する機会を提供したりするもので、県内では初めての取り組み。
国は平成27~29年度、障害者の高齢化や重度化を見据え、切れ目のない支援体制を整備する目的で「障害福祉計画」を構築。各市町村に1カ所の地域生活支援拠点を整備することを定めた。同市はこれに基づき、市内の社会福祉法人「いこま福祉会」が運営するグループホーム「ラベンダー」を拠点に、障害者の生活や自立を支援する事業をスタートさせた。
同事業では、一人暮らしを目指す知的障害者の生活相談に乗るほか、介護する親や家族が介護ができなくなった際には障害者を一時的に保護。また、介護者が亡くなった後、自宅を離れて生活することを考えている知的障害者には、グループホームでの集団生活に加え、マンションで宿泊する機会も提供するという。
同市の担当者は「事業は障害者個々に合った支援をするための核となる。家族だけで悩みを抱えず、気軽に相談してほしい。これを機に、地域ぐるみで支援ができるように市民にも啓発していきたい」と話している。
問い合わせは同市障がい福祉課(電)(0743・74・1111)または、地域生活拠点事業所ラベンダー((電)0743・71・6522)。
障害者向け就労支援事業や子ども向け教育事業を手がけるLITALICO(リタリコ)は、働きたい障害者と障害者就労支援事業所とのマッチングを促進するサイト「LITALICO仕事ナビ」を2018年3月に開始する。
LITALICOは、就職を考える障害者のための就労移行支援事業所である「LITALICOワークス」を全国で運営しており、これまでに5000名以上が企業へ就職している。
新たに開始するLITALICO仕事ナビでは、全国の障害者就労支援事業所の情報を分かりやすく掲載し、障害者一人ひとりが自分のニーズに合った事業所を選べるようにサポートする。また、就労支援事業所にとっては、利用者を集めやすくなるという。
LITALICO取締役の中俣博之氏によると、働く意欲を持つ障害者の数は年々増えているという。2017年は47万人以上が民間企業に雇用されており、その数は13年連続で過去最高を更新した。また、2018年4月には障害者雇用促進法が改正され、企業の障害者の法定雇用率は現行の2.0%から2.2%に引き上げられる。
障害者の「働きたい」を支援するのが、障害者総合支援法に定められた、就労系障害福祉サービス(就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)だ。これらの施設は2016年10月時点で全国に1万7000近い数があり、3年前と比べて約1.4倍に増加した。
施設のうち、就労移行支援事業所は、就労したい障害者の雇用・就労をサポートするもの。就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる人に対して、就労に必要な知識や能力向上のための訓練、求職活動に対する支援、就労後に職場に定着するために必要な相談などを行う。
就労継続支援A型事業所と、就労継続支援B型事業所は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対して、雇用または就労のための支援をする。
LITALICO仕事ナビは、全国にあるこうした事業所を分かりやすく掲載し、障害者がパソコンなどから検索してアクセスできるようにする。
障害者の雇用・就労の世界はネット活用が遅れている
障害のある方を対象とする就労支援マッチングは従来からあると、中俣氏は言う。ただし、障害者の診療を行っているクリニックが近隣の就労支援事業所を薦めるケースや、地方自治体の広報誌などを利用したものなどが多いそうだ。
「中にはインターネットを活用しているものもあるが、20年ほど前に作られたような古いデザインのウェブサイトだったり、どのような条件の障害者を募集しているのか分かりづらかったりする」と中俣氏。IT業界から転職した中俣氏の印象では、「障害者の雇用・就労の世界は、IT業界でいうとやっと2000年代初頭になったくらいのイメージ」だという。古いデザインのWebサイトが今なお残っているのもその表れだろう。
一方で、就労支援事業所を探すためにインターネットを利用する人は多い。LITALICOは2017年12月、就労支援事業所を探したことがある877人を対象に調査を実施した。同調査では、「就労支援事業所をどのように探したか」という問いに対し、「パソコン(PC)で探した」という回答が最も多く、64.5%にもなった。障害者が自宅のパソコンでウェブサイトを検索し、就労先や雇用先を調べている実態が浮き彫りになった。
しかし、ウェブサイトを検索してもサイトに条件などが書かれておらず、事業所に電話で問い合わせなくてはならなかったりすると、心のハードルは相当上がってしまう。パソコンを使って検索したいという障害者のニーズに対して、前述のような古いウェブサイトでは、対応が十分とも言い難い。また、働きたい障害者がその事業所に電話をして話を聞いてみて、自分が求めている就労内容と違っていたりすると、「特に心に障害を抱えた方は、それだけでくたびれてしまうんです」(中俣氏)。
同調査では、就労支援事業所を探すにあたり困ったことも尋ねたが、「自分にふさわしい事業所の探し方が分からなかった」の項目に「(非常によく/まあ)あてはまる」と回答した方は81.4%にも上ったという。
就労支援事業所としても、新規の利用者を集めて定員を埋めたいと思っている。そのためにはインターネットを活用したアピールが重要だと理解はしている。しかし、費用や手間がかかることなどから、実際の行動は立ち遅れているところが多いと、中俣氏は業界の状況を分析する。
LITALICO仕事ナビは、障害者と就労支援事業所双方が抱える課題を解決するために立ち上げたサービスだ。障害者は、各事業所の情報を統一したフォーマットで分かりやすく閲覧できる。その事業所を既に利用している人の障害種別やこだわりポイント、あるいは就職者実績なども調べられるようになっており、自分の状況に最適な就労支援事業所を選べる。
一方で、就労支援事業所は、LITALICO仕事ナビ上に、自身の事業所の紹介ページを設けることができる。紹介ページの運営や問い合わせ管理をLITALICO仕事ナビ上で一括して対応できるので、時間やコストを減らせる。紹介ページの利用は初期費用ゼロ。月額固定費の料金プランは、問い合わせの件数やサイト上の誘導枠の有無やサイズなどで4種類ある。
「LITALICO仕事ナビを、働きたいと考えている障害のある方と就労支援事業所、双方の課題を解決するプラットフォームにしたいと思っています」と中俣氏は話す。
LITALICOは、「障害のない社会をつくる」というビジョンのもと、障害者向け就労支援事業だけでなく、発達障害児向け学習アプリや子ども向け教育事業提供なども行っている(関連記事:発達障害の子どもを支援するアプリ) 。
(文/久保田 浩=日経ソフトウエア)