猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

『エリック・ホブズボーム 歴史の中の人生』を下巻から読む

2021-10-11 22:51:42 | 思想

9月4日の朝日新聞の書評を読んで、4,5日前から『エリック・ホブズボーム 歴史の中の人生』を下巻から読んでいる。図書館に上・下ともに予約したのだが、みんな上巻から予約するから、私はエリック・ホブズボームの伝記を終わりから読むことになった。上巻が読めるのは、これから 2、3か月後であろう。

下巻では、エリックは、当時のアカデミックの世界に閉じこもる学者と異なり、一般の人向けに歴史書を書いた。それがヒットし、『革命の時代』『資本の時代』『帝国の時代』さらに『両極端の時代』と続く。ヒットするとは、面白いからだろう。社会の文化、日常生活から、歴史を語りだすところが、ユニークらしい。

下巻は、人生の下り坂、本が評判になって有名な歴史家になっていくが、若い学者たちから時代遅れだと批判される。もっとも、伝記作家がどう言おうが、エリックの著作を読んでみないと、本当のところがわからない。ものには多面性があるから、エリックがその一面しか見ていないと批判するのは、やっかみかもしれない。どこの面からみようと、個人の勝手だ。

エリックはブ男である。しかし、女好きで、こまめだから、女にもてる。しかし、人生の後半になって遅れて、普通の人のように、結婚して子どもをもつ。

エリックはたくさんの本を書く。本を書くのが特別早いのだと思わない。それに、歴史学も学問だから調べて書く必要がある。たくさんの本を書くということは、本を書くことに多くの時間をついやす。何に時間をついやすかは、選択の問題である。人の選択は非難することも称賛することもできない。個人的問題である。

エリックの変わったところは、イギリス共産党を批判しながら共産党員でありつづけたことであろう。しかし、これは、エリックが変人であったというより、ほかの人たちがあまりにも簡単に共産党を見捨てたところに問題があるのではないかと思う。党を愛していれば、ちゃんとしないと腹が立つだろう。そして、エリックが若いときは、イギリス共産党が一番まともな政党であったのだろう。批判し続けるエリックを除名しないイギリス共産党はまともではないか。

ただ、伝記では、イギリス共産党はどんなことを言っていたのか、どんな活動をしていたのか、わからない。なんとなく、政党というより、知識人のクラブで、大衆活動をしていないようにも思える。イギリス共産党の実態が知識人のクラブであってもかまわないと私は思う。自分たちを前衛党だと言い始めて、大衆を意のままに動かそうとするより、コーヒーを飲みながら知的議論を繰り返すほうが健康だと思う。

エリックは印税に恵まれ、幸せな人生を送ったと思う。ボブズボームは変わった名前だが、ポーランド系ユダヤ人だからのようだ。