悠山人の新古今

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和泉式部集077 あの雨の

2007-01-27 01:20:00 | 和泉式部集

2007-0127-yis077
あの雨の激しい音を聞きながら
ずっとあなたを思っていたわ   悠山人

○和泉式部集、詠む。
○第077歌~第080歌は、『和泉式部日記』所収。詞書は、「雨のおどろおどろしく降るつとめて、今宵はいかに、と宮よりある御返り事」。恐ろしいほどの雨が降った翌朝、ゆうべ(昨夜)はどうだったか、と帥宮敦道(そちのみや あつひと)さまからのお便り。
¶なにごと(何事)をかはおも(思)ひつる=何を考えられましょう(何も)。I cannot think anything but you.
□和077:よもすがら なにごとをかは おもひつる
      まどうつあめの おとをききつつ
□悠077:あのあめの はげしいおとを ききながら
      ずっとあなたを おもっていたわ
【memo】参考までに、『日記』「ひと日の御返りの」条。(依拠本前半の『日記』による
 <ひと日の御返りの、つねよりももの思ひたるさまなりしを、あはれとおぼし出でて、いたう降り明かしたるつとめて、「こよひの雨の音は、おどろおどろしかりつるを」など、のたまはせたれば、
  「よもすがらなにごとをかは思ひつる
   窓打つ雨の音を聞きつつ  (以下略)>
直前に「五月五日(さつきいか)になりぬ。雨やまず。」の一行があり、校注は日付・天候ともに「不審」とする。紫にしても和泉にしても、日記の概念が現代とはかなり異なっているので、注意を要するところだ。さらに、日記と、そこから引いた和歌集の表記も、違っている。こうした細部にわたる異同は、写本の問題も絡んで、研究者の間で静かな論争が絶えない。