「女を物越しにほのかに見て」(詞書)遣わした、男の歌。美しい女と見たら声を掛けるのが男というもの、というどこかの国の常識が、古き日本でも常識だった。
【略注】○にほふ=何回か出ているが、どちらかと言うと、嗅覚よりも視覚に
比重がかかる。「美しく咲いている(だろうなあ)」。花と、花にたとえられ
た女性に対して。
○惜しき春かな=「自分はそのままにして、ほかの人に渡すのが惜し
い。」(小学版) 男の勝手な言い分だが、これも当時の倫理観では当然
という意識である。
○清原元輔=下総守春光の長男(顕仲の子?)。肥後守。深養父(ふか
やぶ)の孫。清少納言の父。八十三歳の長寿。
[science]以下、weblog メモなので、無視されたし。
■数学■大事件!! 2005年10月15日(土)朝日、p.22。朝、6時、どの日本語のウェブ・ニュースにもなし。
Camille Jordan の曲線定理、120年経て「完全証明」
信州大とポーランド・ビアリストーク大の共同研究。91年から電脳解析。
Bialystok University / Uniwersytet w Białymstoku is a Justice Initiative partner institution in the area of Legal Capacity Development.
Website currently under construction. No English version currently available
http://www.uwb.edu.pl
百合も園芸種がたくさん出回っている。これは「コンカドール」の花名札が付いていた。Conquador だとすれば、スペイン語で「征服者」。いま、内玄関で華やかに咲き誇っている。恋の色、スペインの赤、情熱のアプローチ(マクロ撮影)。
思いの手紙を送ると、返事は来るけれど、自宅はなかなか教えてくれない。ますます恋の炎は燃える。ここで、返事が来るのならすぐ分かるだろう、などと言うのは、現代人の無粋というもの。新古今人は、ほんのりはんなり・・・。
読み:煙=けぶり。
【略注】○思ひ=「ひ」は「火」に掛ける。だから空に立ちのぼる煙になる。
○雲居=雲の居る(在る)ところ。女性(本院侍従)のいる宮中も?
「空」の縁語でもある。
○藤原兼通=忠義公。関白太政大臣。堀川関白。本院侍従・兼通の
贈答歌一対だけ。
☆「Yomiuri Weekly」10月16日号の巻頭大特集は「 <恋愛嫌い> の男
vs <恋愛依存> の女」。副題は「30代 <心の危機> 」。『新古今集』は、
恋愛嫌い人種には、不向きであることは確か。/同誌に、「東京駅、1938」
として、同駅の珍しい丸屋根の写真がA4で紹介されている。
ダーリア。ダリア。ダリヤ。天竺牡丹。新古今にちなんで恋歌一首。
写真は、見たとおりの鉢花。花のカードには、「Dahlia Gallery(r)/www.
beekenkamp.nl」とだけあって、固有花名は分からない。
読み:天竺牡丹=てんじくぼたん。片方=かたえ。
ようやく受け取った返事。嬉しくて詠み返した歌。女の名は「西の御」(にしのご)。
【略注】○たよりの風=「雁の便り」と同じで、当時から「風の便り」の言葉もあった。
○藤原高光=師輔の八男。二十二歳ごろ出家して、如覚と号。多武峰(とうの
みね)に庵を結んだことから、多武峰少将とも。
『新古今集』の白眉、恋歌(こいのうた)は 0900 から 1434 まで。巻十一(恋歌一)から巻十五(恋歌五)まで。恋歌一は 0900~1080。『万葉集』の相聞歌(そうもんのうた)は、『古今集』から恋歌の部立て名になる。巻数・配列とも古今にならって、心理的過程に合わせる。
この歌は、万葉では作者未詳。
読み:守る=もる。庵=いお。蚊火=かび。下=した。燻る=くすぶる。
【略注】○あしひきの=「山」の枕詞。
○柿本人麿=悠 036(08月09日条)既出。
晶子と深く関わるミュシャ。先日の記事を読んだEさんから、来年のカレンダーをいただいた。表紙は Les Saisons 1900(四季:1900年)。(アートコレクションハウス) このテーマは、ミュシャ・ファンにはおなじみ。
きょうは最も熱心な読者に、短歌を添えて贈るとしよう。あたかもわが新古今は恋歌の初日。
☆アルフォンス・ミュシャの綴りは Alphonse Mucha である。
作者「遊女」は、二千首のうちこれだけ。天皇から遊女までという選歌、この事実も新古今集を理解するうえで、重要だ。西行が四天王寺詣での折り、一夜の宿を断られて詠んだ歌への、返し。
【略注】○心とむな=心を留めるな。執心するな。
○遊女妙(たえ)=摂津国江口(大阪市淀川区)の遊女とだけ伝わる。例外的に
肩書き表示。
夫の大江匡衡(まさひら)の死後、長谷寺詣でした夜、親切な人から草枕をいただいて詠んだ、という一作。彼を詞書で、「頼み侍りける人」(頼りにしていた人)と記した妻。夫婦愛の深さを感じる。
【補注】○ひとり露けき=ひとり(旅しながら)涙する。「露」はさらに「草」の縁語ともなる。
○赤染衛門=赤染時用(ときもち)、実は平兼盛の子か。「歌で和泉式部と並び
称せられた。」(広辞苑) 80代半ばまでの長命。
【補説】初瀬寺 奈良県桜井市初瀬にある、いまの長谷寺。同寺のウェブ・サイトには
こう書いてある。
当山は山号を豊山(ぶさん)と称え、寺号を長谷寺(はせでら)と申します。「こ
もりくの泊瀬山」と万葉集にうたわれていますように、この地は昔は豊初瀬(とよ
はつせ)、泊瀬(はつせ)などと美しい名でよばれていたので、初瀬寺、泊瀬寺、
豊山寺とも言われていました。