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まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

飯田橋、法政大学から外濠通を市ヶ谷へ

2013年11月25日 | 日記
 先週17日の日曜日は勤務だったが、午後休みをとって都内へ。法政大学内で「三弦物語」を聴く。中国三弦・沖縄三線・三味線(長唄・義太夫・津軽)の異なる音色を一気に聴き比べてしまおうという企画公演。制作の古典空間小野木さんからご招待いただいた。久しぶりに降りた飯田橋駅前は再開発の最中で高層ビルが立ち上がり、以前の風景が思い出せないほどあたりが一変していた。
 会場は、数年前に新築された大学外濠校舎の六階にある“薩埵(さった)ホール”、変わった名称は、大学創生に貢献した人物の名前を記念して冠していて、ガラズ張りのロビーからは空中庭園越しに市ヶ谷方面から新宿高層ビル風景が遠望できる。3日に法政大学多摩後校舎での出来事を記したが、同じ大学でも全く環境が異なり別の大学のようで興味深い。ちなみにメディアによく登場する町田市在住の著名人田中優子さんは、両方の校舎学部の教授を兼任されていて、その所属がそのまま彼女の関心の幅広さを象徴しているようだ。
 演奏会のほうはすでに開演していて、沖縄三線の演奏途中で、その前の費堅蓉さんの三弦演奏は終わっていた、残念!あとのプログラムをたっぷり楽しませてもらって、舞台脇入口にいらした小野木さんにお礼を言って校舎をでる。

 夕暮れの外濠公園をぶらぶらと歩く。普段郊外に住んでいてたまに都心にでると、市ヶ谷台地越しの都心の眺めはなかなかのものだ。春には外堀周辺の桜並木が見事だろう。郊外と都心の往復のなかに、現代の矛盾を含めた社会に生きざるを得ない人間のさまざまな姿が都会の風景とともに浮かび上がってくる。
 東京逓信病院脇の坂を九段方向にのぼっっていくと朝鮮総連のあるビル前に出るが、装甲車がとまり警備体制がものものしい。突き当りの塀の向こうは、伊東忠太設計の帝冠様式博物館、靖国神社遊就館だ。朝鮮総連隣の敷地は、都心には珍しい広大な更地で国有地の看板が立っていた。その路地をはいるとマンションやら個人宅もあって、ちょっとびっくりさせられる。かつてはともかく、再開発が進むなか生活色の乏しくなってしまったこの都心に残された古くからの路地に住む人たちは、大金持ちは別としていったいどのような暮らしを送っているのだろう?

 周辺をぐるりとめぐって飯田橋駅前にもどり牛込橋を神楽坂方向にくだってみる。外堀に面してボート乗り場の併設された「カナルカフェ」というレストランがあった。大正時代にルーツがさかのぼる古い施設のようで、都心の水辺の息抜きスポット。そこから見上げる坂の上のビルの灯りが水面に映って、夏などは都会からではの情緒があるだろうか。そのまま外濠通りを市ヶ谷駅まで歩いていく。
 途中の市ヶ谷台地側には、東京理科大学の高層校舎、英語辞書の研究社ビル、日仏学院、法政大学大学院校舎ビルなど。市ヶ谷田町の裏通りなどはひっそりとしていて、「萩の宮」などという風流な名前の古い旅館が残っているあたり、不思議な雰囲気でタイムスリップしたかのような錯覚にかられる。地図には浄瑠璃坂、長延寺坂、闇坂、逢坂、歌坂など江戸時代から続くと思われる地名が並ぶ。歴史と風土が名前に染みついているかのようで、伝統芸能を鑑賞した後の散策にはまったくもって相応しいに違いない。そういえばこのあたり、坂マニアのタモリもぶらついていて、以前NHK番組で外堀周辺をあるいていた映像を思い出す。たしか法政大学ボアソナードタワーから、外堀、皇居あたりを展望していたなあ。

 すっかり日が落ちて暗くんあった頃、ようやく市ヶ谷駅前までたどり着き、新宿まででて小田急に乗り換えて帰路へ、夢のような夕暮れ時、一時間あまりの都心歩きだった。車中、多摩川を渡り郊外へと移動することでわたしの日常フィールドに戻ろう。

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