日々礼讃日日是好日!

まほろ界隈逍遥生々流転日乗記

金柑と蝋梅

2017年01月28日 | 日記
 大寒のこの季節、民家の庭先などにミカン科の小さな果実、金柑が色づいているを見かける。金色の蜜柑だから、キンカンと呼ばれていて、よく熟したものはよい香りがして甘酸っぱく旬の果実である。はちみつを入れて煮詰めて作った甘露煮や金柑酒など、風邪の予防によく効くようだ。

 黄色系統から連想したのは、寒空に映える蝋梅ロウバイの艶のある黄金色の花で、その馥郁とした香りが季節を感じさせる。まとまって見られる場所は意外と思いつかなくて、隣りまちの忠生あたりの公園にすこし群生していたのを思い出した。このあたりからはすこし離れるが、松田町寄には山の斜面を利用したロウバイ園が開かれていて、それは見頃な咲きっぷりのようだ。それを手軽に駅張りのポスターで見つけて愉しむ。
 
 早咲きの梅は、いまがもう盛りである。今朝の新聞地方版には、小田原市内久野のフラワーガーデンで紅梅、白梅が満開になっていると書かれていた。このあたりは小田原でも郊外のひなびた里山地域にあたり、いつか伊豆箱根鉄道大雄山線に乗って、のんびりと一日かけて巡ってみたいと思っている。山道をゆくと周囲には古代の古墳遺跡がいくつも眠っていて、その存在のあかしは、いまは静寂の彼方に吸い込まれてしまったかのようだ。

 相州小田原と言えば、早川中流域の入生田駅からしばらく歩いた山間に咲く、長興山しだれ桜も久しく眺めていないなあ。いつか、ここらあたりから早川対岸の太閤石垣山一夜城歴史公園まで登って、ひと休み、相模湾の広がりを一望したら、小田原漁港まで下っていこう。最寄りのJR早川駅から小田原駅までは一駅である。
 歴代の城主、北条五代、大久保氏、稲葉氏につづく殿様気分で小田原城天守閣へ登楼したら、老舗「ちん里う」の蜂蜜梅漬けと本家「ういろう」駅前店で金柑を模した和菓子を箱入りで買って帰るだろう。

 晦日正月まであと三日、そのあと如月を迎えたらすぐに節分だ。もう春は近い。


この時期の水仙の花も忘れられない。一休和尚の漢詩の世界。(2017.01.05 相模台団地にて)
乙女のような清楚な五弁の花びらのかぐわしき香りの広がりの中、金冠台の鮮やかさはいったい何を受けとめようとしているのだろ。

新春2017 江ノ島詣之絵巻

2017年01月03日 | 日記
 新春にふさわしい穏やかで晴れ渡った三が日、しばらくはこの天気が続くようである。

 本年西暦2017年は、明治でいうとちょうど150年にあたり、その間の世の中の変化・変動といったらそれまでの史上類例がないくらいの激しさだろう。欲望の赴くまま世界のグローバリズム化が進行し、効率化や利便性と引き換えに失ったものや忘れ去ったものの大きさに気がついたときは、もはや人類生存自体が手遅れの危機に陥っているといったことのないように祈るばかりだ。尊大な態度で自然をないがしろにしたものは、自然からしっぺ返しをくらうだろう。

 本日三日、恒例の江の島詣に出かける。小田急線に乗ってほんの三十分もすれば、終点の片瀬江ノ島駅のホーム、思いのほか空いていて肩すかしを食った。島への大橋を歩いて渡る途中の右手前方、相模湾と丹沢大山の連なり越しに見える富士山は、冠雪を覗かせた中腹が雲で覆われてしまっていたが、まずまずの御姿を表わしてくれている。島に入ってすぐの参拝入口に立つ青銅の鳥居には、江戸文政年間に再建された刻印がある。その先の参道の幅は当時のままほとんど変わらないはずで、この絶妙の幅が独特の賑わいを生み出しているように感じられる。

 店先の賑わいを抜けた先、急な石段の先にそびえる竜宮城のような端心門は、異空間への誘いを効果的に演出しているようだ。そこを上りきると辺津宮とその隣の弁天堂、すこし歩いて途中ヨットハーバーを望みふたたび石段を昇り、朱色が鮮やかな中津宮、さらに歩いて山頂のコッキング苑のある広場へと続く。ここからは、相模湾を一望でき、三浦半島の先からぐるり箱根伊豆方面まで、周囲三百六十度のパノラマ風景が望める。

 奥津宮まで参って、帰りの江之島亭でひと休みの食事をとることにした。島の道中では、陽だまりの猫の姿をすっかり見かけなくなった。なにはともあれ、いつもの穏やかな三が日であることに感謝しよう。




 恒例の風景、展望台と富士山のツーショットは望めなかったけれど、相模湾と空の碧さがまぶしい。
 中央雲の下は大山丹沢の山並み、画像左端に少し濃く低く連なるのが、大磯あたり高麗山から湘南平。 
 海上は遠目におだやかで、弁天丸の進む波状が長く引き、まるで鏡面のミズスマシのよう。


 島の頂上広場でみつけた、春のきざしの河津桜。一輪二輪と薄ピンクの可憐な花が、今朝ひそやかにといった感じで。


 参道入り口の青銅製鳥居は、江戸文政年間(1830年代)再建の刻字。掲げられた額は、迫力ある昇龍の姿で縁どられている。