ジャンクのクロノメーター・スモールセコンド
針は外れて、文字盤は剥がれ、錆が浮いて、でもムーブメントは稼働していました。
"CHRONOMETER NARDY" と表記があります。
ベルトはメタルのバネ製です。バネ棒がベルトにこびり付いていて、ニッパーで切断して取り出しました。
バネ棒は、そもそもが消耗品なので、取り換えることにします。
文字盤は琺瑯製です。リグロインを付けた小さな綿棒でクリーニングします。
小さなヒビがたくさん入っていますが、極細いので、目立ちません。琺瑯は、拭けば文字も消えることなく元の白さが戻ります。大変キレイになりました。
ケースはメッキが剥がれ、錆が浮いていて、キレイにするには研磨して再塗装しなければ元の状態には戻りません。
剥がれた11時の箇所の琺瑯は、ゼリータイプの瞬間接着剤で貼り付けます。液タイプの瞬間接着剤では、カケラを乗せると直ぐにくっ付いてしまうので、その点ゼリータイプはカケラを溝にキッチリはめ込む時間的余裕があります。うまく接着できました。
針はブレゲーのブルーです。ウ~ンこの形と言い、この青色と言い、貴賓がありますね。
軸にはめ込むリングの部分に錆が出ています。表面だけのようなので、再生できそうです。
取り合えず、このままベンジンに浸けて錆を落とします。
ベンジンは揮発性が高いので、密閉できる蓋つきの瓶に入れて使います。浸透性が強いので、錆の隙間に浸み込んで、錆を分解して落としてくれます。
ムーブメントは良好な状態です。多少グリスが固まって、動きが渋くなっていますが、チョットした洗浄で、しっかり動き出しました。
10jewels です。受け板や歯車に、多少錆が浮いていますが、良い状態です。
何処製か表記がありません。多分、1950年代のスイス製だと思います。
琺瑯の文字盤の時計は、とても魅力があります。クラシックな時計は文字盤の汚れに、雰囲気があるのですが、メタルに塗装されたものはベースのメタル(アルミなど)が腐食して錆が浮き上がって、あまりキレイではありません。その点琺瑯は、文字盤の白さに味がでて、とても良い雰囲気になります。ヒビが入っても、極、細いので気にならず、返って重厚な感じになります。
錆の出た針は、1日ベンジンに浸けておいて、オイルを塗ってセットします。バネ棒を取り換えてリペアー終了です。
サラサラタイプのオイルを、オイル差しの細いピンで錆の浮いていた箇所に塗布しておきます。
時計の径に合わせたコマを選んで、はめ込み器でベゼルをはめ込みます。
コマの大きさを、裏蓋やベゼルの径よりやや小さめにして、風防やリュウズを破損しないように気を付けます。
コマが小さすぎると、裏蓋をへこませたり風防を割ってしまうことがあるので、注意してはめ込みます。
新しいバネ棒を付けて、ベルトを取り付けます。
取り付け完了、です。
左の時計は、以前紹介したものです。洗浄しても、もう一つ動きが渋いです。文字盤はペイントで、汚れが目立ちます。
やはり今回リペアーした右の琺瑯の文字盤は、とてもキレイで雰囲気があります。
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