台湾ワン!(Taiwan One!)

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ある意味で超話題の「特別展 台北国立故宮博物院‐神品至宝」

2014年06月23日 | 日々の日記帳
明日2014年6月24日より東京国立博物館平成館にて開催予定の「特別展 台北国立故宮博物院‐神品至宝」が前日になっても展示品の設置がされず開催が危ぶまれた、という前代未聞な事が起きた。

事の発端は東京の駅構内などで掲示されたポスターに「国立」の文言が入っていなかったことで、台湾側が20日に総統府から抗議声明を発表したことから。20日の段階で故宮は22日午前0時までに修正が完了しない場合「一切の展示活動を取り消す」とし、21日になって「日本側の対応を見た上で開催に同意するか決める」と態度がやや軟化した。

記念すべき素晴らしい文化交流がなぜこんな事態に?

日本側の言い分はこうだ。(日経記事より)問題となったポスターは主催者として名を連ねるメディア各社が独自に作製。東博によると、中国・北京の故宮博物院を「北京故宮」と記すのと同様に「台北故宮」表記が日本では一般的とし、「国立」を使わないことで各社と合意していた。

文化は政治と直接に関係がないとはいえ、台湾政府が「国としての存在」をなにより気にしていることは、日本側は知っているはずだ。それが今回、日本人が最も得意とする「気配り」がされていなかった。

政治的な圧力などにばかり気を取られ、パートナーである台湾になんの事前相談もなく、出展契約を交わした際に用いた正式名称の「国立故宮博物院」を、自分たちの都合の良いように勝手に変更したとしか思えない。

相手の感情を逆なでし怒らせてしまったのは当然の結果だし、約束事を世界中でもっとも守ると評判の大国日本の品格を疑わせるようなやり方だ。

しかし、出展が決まった段階で、日本はそれなりの覚悟はなかったものか。まさか日本に甘いから勝手に名前を変えられてもただ黙って見ているだけとでも思っているのか。圧力に耐える自信がなければ、はじめから企画をあきらめればよかった。

今回の出来事から見えてきたのは、日本の出展国に対する基本的な尊重の無さと、良いように利用された故宮の姿だ。

日本を信頼しきって、日本国内での宣伝活動にさほどチェックをしてこなかった故宮だけに、直前の問題発覚に受けたショックも大きかっただろう。そして背中にはこんな情けない事態に傷つき嘆く台湾の国民感情。しかし、事態が収束したいまの急務は、大人の対応で気持ちを切り替えて、全力でイベントの成功に専念することだ。

東京での展示を終えた後秋にも九州でも展示予定の故宮は、二度と同じことが起きないように、今後はすべての段取りに厳しくチェックを入れるとした。なぜそんなことをされなければならないのか、日本は真摯に反省をするべきだと思う。


【後記】東京国立博物館は「国立」が外されたポスターに紙を貼るなど修正作業を23日未明までに終えることを約束し、それを果たした。そして正式に謝罪したい意思を表明した。

それを受け、故宮院長馮明珠氏が急きょ今朝の飛行機で来日した。記者会見で東博の謝罪を正式に受け入れ、台湾人からは日本人への好感と信頼を取り戻せると信じているとも述べ、さらに予定通り開催することを発表した。そこには基本的な尊重さえされればあくまで仲良くしたいという日本に対する基本姿勢がうかがい知れる。

特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」


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