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IUCNがニホンウナギを絶滅危惧種に指定

2014年06月12日 22時10分50秒 | 
国際自然保護連合(IUCN)は6月12日、最新のレッドリストでニホンウナギを絶滅危惧に指定したと発表しました。

IUCNのプレスリリース(原文からウナギ関連部分を抜粋)
Almost 80% of temperate slipper orchids and over 90% of lemurs are threatened with extinction, according to the latest update of the IUCN Red List of Threatened Species™. The newly assessed Japanese Eel has been listed as Endangered, while the Brazilian Three-banded Armadillo – the mascot of the 2014 FIFA World Cup – remains Vulnerable as its population continues to decline.

The Japanese Eel (Anguilla japonica) – a traditional delicacy in Japan and the country’s most expensive food fish – has been listed as Endangered due to loss of habitat, overfishing, barriers to migration, pollution and changes to oceanic currents. East Asia is a hub for farming, trade and consumption of this species and its decline has meant that trade in other eel species, such as the Shortfin Eel (A. bicolor) has increased.

“While the status of this species is of great concern, the assessment of the Japanese Eel and other eels is a hugely positive step,” says Dr Matthew Gollock, Chair of the IUCN Anguillid Specialist Sub-Group. “This information will allow us to prioritise conservation efforts for eel species and the freshwater ecosystem more broadly.”

IUCNのレッドリストカテゴリーは以下のとおり
・絶滅Extinct(EX):すでに絶滅したと考えられる種
・野生絶滅Extinct in Wild(EW):飼育・栽培下であるいは過去の分布域外に、個体(個体群)が帰化して生息している状態のみ生存している種
・絶滅危惧IA類 Critically Endangered(CR):ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
・絶滅危惧IB類 Endangered(EN):ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
・絶滅危惧Ⅱ類 Vulnerable(VU):絶滅の危険が増大している種。現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続いて作用する場合、近い将来「絶滅危惧I類」のランクに移行することが確実と考えられるもの
・準絶滅危惧 Near Threatened(NT):存続基盤が脆弱な種。現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの
・軽度懸念(LC):基準に照らし、上記のいずれにも該当しない種。分布が広いものや、個体数の多い種がこのカテゴリーに含まれる。
・情報不足Data Deficient(DD):評価するだけの情報が不足している種

今回発表されたレッドリストでのニホンウナギの評価のランクは、「絶滅危惧ⅠB類」です。

ニホンウナギは、環境省のレッドリストでも、すでに昨年2月に「絶滅危惧ⅠB類」に指定されていますが、なぜ、今回、IUCNのレッドリストに記載されたことが大問題になるでしょうか。
それは、ニホンウナギの貿易に大きな影響を及ぼす可能性があるからです。

レッドリスト自体は、条約や法令などとは違って、何の法的拘束力を持ちません。しかし、国際的に権威のあるIUCNのレッドリストは、ワシントン条約(正式には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」、略称:CITES)の対象種選定の際に大きな判断材料とされます。
ワシントン条約の対象種になると、そのランクによっては商業目的のための国際取引が全面的に禁止されることになります(付属書Ⅰに記載された場合)。

ニホンウナギは、種苗も製品も大きく輸入に依存している実態があり、国際的な商業取引が規制を受けることは、大問題となります。



ワシントン条約の締約国会議が開催されるのは、2016年。実は、昨年開催された前回の締約国会議でもニホンウナギは、検討の俎上に乗りましたが、指定を見送られた経緯があります。

IUCNのレッドリストの絶滅危惧種、イコール、ワシントン条約の対象種ということではありません。ニホンウナギの最大消費国である我が国が中心となって、実効性のある国際的なウナギ資源保護体制を確立できれば、ワシントン条約の対象種指定は、回避できる可能性もあります。

とは言うものの、資源保護の枠組みができても、ワシントン条約の付属書Ⅱ(輸出国の輸出許可書が必要)に記載されるのは確実だろうと、私は思いますけど・・・。

また、ニホンウナギの代替種として、数年前からビカーラ種が注目されていますが、このビカーラ種もニホンウナギの代替種としての乱獲がたたり、今回、「準絶滅危惧」に指定されました。

鰻を食べるのは日本の伝統的な食文化だとは思いますが、輸入されたウナギの蒲焼を量販店に並べたり、ましてやニホンウナギではない別種のウナギを蒲焼にして販売するのは、日本の食文化って言えるの? と思っちゃいます。


ウナギを守るには、ウナギを育む環境の保全が一番大事です。