昨日の日曜日、
ぐんま昆虫の森で
「オオムラサキを語ろう」というイベントがあったので行ってきました。
「オオムラサキを語ろう」は今年で20周年を迎えた群馬国蝶オオムラサキの会とぐんま昆虫の森の共催で行われました。
群馬国蝶オオムラサキの会はみどり市内の雑木林でオオムラサキの保護活動に取り組んでいる団体です。
オオムラサキは日本の国蝶。夏の雑木林で美しく力強い姿に出会うと感動します。
(↓今年の8月2日撮影)
英名 Great purple emperor 偉大な紫の皇帝!
ぐんま昆虫の森園長ドクトルムッシー矢島稔先生の挨拶
矢島先生は私と同年代の元虫好き少年たちが大尊敬する先生ですね。
オオムラサキについての解説
紙芝居
麦わら帽子をかぶって紙芝居をしているのは群馬国蝶オオムラサキの会の阿部会長さん
オオムラサキと人が大好きということが伝わってきました(^^)
オオムラサキの生態や地球温暖化が生物に与える影響、越冬幼虫の調査結果などの話や、幼稚園児によるオオムラサキの歌の合唱、紙芝居など盛りだくさんの楽しいイベントでした。
昆虫の森では現在企画展
「秋の野山の昆虫展」を開催中。
声は聞こえても姿がなかなか見られない鳴く虫たちの姿を見ることができます。
マツムシ
♪チンチロリン
あっ、真ん中に写っているのはメスですね(^^;) 鳴きません・・・
アオマツムシ
大きな声でリィーリィーリィー♪
クダマキモドキの仲間
♪チッチッチッ
フィールドにて
アキアカネ
ナツアカネ
イチモンジセセリ
コムラサキ
♪あなたに あなたに 謝りたくて 山裾の秋 ひとり逢いに来た
ワレモコウ
ぐんま昆虫の森は子供向けの施設だと思われる人が多いと思いますが、大人も楽しめる場所です。
どこか懐かしさを感じる里山のフィールドを虫や草花などを探しながら散策していると時間が経つのを忘れます。
ミュージアムショップで100円で売っている「
四季の花ごよみ」が重宝します。
生態温室にて
ここでは西表島の自然が再現され、亜熱帯のチョウが舞います。
南北に長い日本の自然の多様性、普段は見ることのできない様々な姿形をした昆虫たちを間近で観察し、肌で感じることができます。子供たちにとってはとても有意義な施設だと思います。
ぐんま昆虫の森
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以降、「オオムラサキを語ろう」で勉強した内容の備忘録です
オオムラサキについて
・学名 Sasakia charonda (覚え方 佐々木が転んだ)
・1863年に英国人園芸家が神奈川(横浜?)で採取し、本国に持ち帰る。
・属名は日本の昆虫学者佐々木忠治郎に因む 佐々木は日本の昆虫学・養蚕学の祖。
・佐々木が明治35年にオオムラサキの幼虫と蛹の絵を発表したが幼虫はゴマダラチョウで、食草がタケと書いてある。(当時の日本の昆虫学の未熟さを象徴)
・分布 北海道から九州まで日本各地。朝鮮半島・中国・台湾北部・ベトナム北部
国蝶指定について
・国蝶が決まっているのは世界で六カ国のみ
・1933年(昭和8年)江崎悌三博士が「蝶類同好会」で国蝶選定を提案
・1936年(昭和11年)同会で投票したが会員数が少なく非公認
当時、候補となったチョウはアゲハ、ギフチョウ、アサギマダラ、アカボシウスバシロチョウ、オオムラサキ。
・1956年 オオムラサキの切手が発行される
これに刺激を受け
・1957年(昭和32年) 日本昆虫学会役員会がオオムラサキを国蝶に選定
この時に候補となったのはオオムラサキの他にモンシロチョウ、アゲハ、ミカドアゲハの3種
オオムラサキの生態について
・年1化 成虫6月中旬~8月
・♂はテリトリを持つ 鳥にも向かっていく?
・卵→ふ化 7~10日
・1齢幼虫には角がない 2齢~ 角あり
・群馬では4齢で越冬する
・終齢は6齢 大きさ60㎜
・垂蛹 お尻だけでぶら下がる。 2~3週間で羽化
温暖化とぐんまのチョウ
○今まで県内で見られなかったチョウの侵入
・モンキアゲハ
関東では年2回発生 5~9月
食草 カラスザンショウやミカン類
群馬県では1949年に藤岡市で初記録
1976年桐生市川内町で幼虫発見
1980年代から県内各地で報告増加
現在は定着し各地で見られる
・ツマグロヒョウモン
多化性 4月~10月
食草 スミレ科のタチツボスミレやパンジー等のすみれ類
県内では1946年前橋で初記録
2000年 太田市で幼虫発見 この頃から報告増える
現在は定着し、平野部では普通種
・クロコノマチョウ
・ムラサキツバメ
年3~5回発生 5月~
食草 マテバシイやシリブカガシ
1998年前橋市で初記録
県内各地のマテバシイから幼虫発見
現在は定着 食草は県内には自然分布していないが公園などに植栽
・ナガサキアゲハ
年3~5回発生 5月~10月
食草 ミカン類
県内では2003年 太田、館林で初記録
以来散発的に記録される
定着は不明
年平均気温が15.5℃上回ると定着、繁殖
○オオムラサキは通常4齢で越冬するが、温暖化により秋までに5齢になってしまうと冬越しに失敗し死んでしまう。 飼育下では観察例有り