本日、土用の丑。
3年連続のシラスウナギの不漁で、蒲焼きの価格も高騰し、鰻屋の客足も減ってはいるようですが、さすがに今日は大賑わいだったようです。
我が家ではスーパーの特売蒲焼きでございましたが・・・(^^;)
土用の丑の日にこんな本はいかがでしょうか。
ウナギ大回遊の謎 塚本勝巳著 PHPサイエンス・ワールド新書
ウナギは昔から日本人に親しまれ、現在は世界のウナギの7割は日本人が食べていると言われていますが、その生態は多くの謎に包まれています。
ニホンウナギの産卵場と推定されていた水域で、最近、ふ化後間もないプレレプトセファルス、成熟した親ウナギが相次いで採捕され、2009年には、ついに産卵された卵が確認され、産卵地点が特定されました。
その大発見をした研究者が、著者の塚本氏です。
本の帯に「ウナギの究極の謎を追いかけた科学者たちの夢と冒険の記録」とありますが、まさにその通り。世界初のウナギ産卵場発見までの道のりは、サイエンスアドベンチャーです。わくわくしながら一気に読みました。
ところで、多くの食用魚で全生活史を人がコントロールする完全養殖が可能になっていますが、
ウナギは研究室レベルでは完全養殖に成功していますが、まだ実用化のレベルには達していません。
養殖の種苗であるシラスウナギの不漁が続くなか、ウナギ完全養殖の実用化が期待されています。しかし、完全養殖の技術が実用化されればそれで問題が解決するのかと言えば、そうではありません。
魚が減ったら人が育てた種苗を放流すればよいというこれまでの安易な対応では、根本的な問題解決になりません。本書の最終章でも述べられていますが、科学的知見に基づき、天然のウナギ資源を守る取り組みが需要です。
アユやヤマメの種苗生産技術が開発され、生態系から切り離された場所で、放流用種苗の大量生産が可能になったことにより、魚類の繁殖に適さなくなった川にも放流によって資源が維持できるようになり、河川環境破壊に免罪符を与えてしまったという苦い経験を忘れてはいけないと思います。
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