どの専門分野でもそうであろうが
医学にも多数の専門用語(術語)がある
医師同士が話す場合は
術語が共通言語であり
その用語を使用したほうが
話がスムーズに進む
医師の説明がわかりにくいとの指摘がある
この場合言葉自体の問題もさることながら
人体の構造や働きについての基本的理解の有無
それに病気に関する概略の知識の有無
などが理解度を大きく左右する
だから言葉自体を簡単なものに置き換えればことが済むという問題ではなく
理解度を確認しながら説明をゆっくり進めることが必要
医者の説明がわからない理由にもう一つあると思う
それは医者にもわかっていないことを説明するときである
例えば癌患者の一人に治るか否かを問われたとする
進行度は中期くらいとすれば
統計上は5年生存率70%などと説明することはできたとしても
目の前のあなたの癌が治るか否か明確には答えられないのである
最も知りたいところが実は神のみぞ知るという話になってしまうので
医者は 治る! とも 難しい!とも答えられず
患者にもやもやが残ることとなる
結局医学用語を簡単な言葉に置き換えるなどというのは
医者の説明をわかりやすくするための本質ではないのだと思う
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先日の国際生物学オリンピックでは、参加した4人の日本人高校生のうち、一人が日本人として初の金メダルを取るという快挙を達成したほか、残りの3名も全員が銀メダルという優秀な成績でした。
まあ、日本でやったというアドバンテージもあったでしょうし、参加した世界の高校生221人のうち、金メダルは成績上位の約10%、銀メダルはそれ以下の約30%までに与えられるということですので、金メダルが20人以上、銀メダルは70人近くが取ったということで、本当のオリンピックのように金銀一人ずつというものではありませんので、参加した4人の健闘は心から称えたいと思いますが、今の日本の教育レベルから考えるとまあしかるべき成績だったと言えるのではないでしょうか。
それにもかかわらず、日本代表団チームリーダーである東京学芸大学附属国際中等教育学校の齋藤淳一先生があえて「日本の教育ではヒトの生物学と統計学が欠けている」とおっしゃって警告したのは、日本の生物学教育(あるいは理科教育)の置かれている特殊性を危惧した上でのことなのかもしれません。
まあ、統計学はどんな科学(自然科学だけではなく、社会科学も)をするにしても大切な基礎になるものですから、小学生の時からしっかりと教えるべきだと思いますが、生物学に関してヒトの生物学が欠けているというのはとてももったいない話だと感じました。
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自分の健康を守るためにも、
お医者さんが言っていることを理解するためにも
生物学の分野として「ヒト」を学ぶ必要がありますね。