誤解
医療の世界では、informed consentが重視されている。医師から患者への十分な説明に基づいた理解を得たうえで、治療を行っていくということである。病気や治療の内容を、患者さんやその家族がわかるように説明したうえで、その後の方針に同意を得る必要があるわけである。説明の際には専門用語をなるべく避け、相手の理解に合わせて説明を工夫する姿勢が求められている。医者からすれば、「よくわからないので、先生にお任せします。」などと言われてはいけないわけである。そして説明の内容は文書にしておかなければならない。いわゆる同意書である。
後から何か問題が生じたときに、説明の有無を証明するのが同意書ということになる。患者側の誤解があればそれも文書が証明してくれる。とにかく、患者側のmisunderstanding(誤解)や医療者側のmisleading(誤解を招く)が起きないようにしなければならない。
言葉が命の政治家にしたってそうあるべきだと思う。A:高齢者や合併症のある人以外は熱が出ても4日間は様子を見てから保健所に連絡をする。B:高齢者や合併症がある人以外も4日間という期日は重視せずに重症と思えば保健所に連絡する。BをAだと判断するのは誤解なのだろうか。基本的教育制度が施行されている日本で、BをAと誤解する人が大半を占めるなどということがあるだろうか。もし日本人の大半がAと判断していたのだったら、誤解を招いた説明者、加藤厚生労働大臣、の責任である。それを説明者の責任と理解できない説明者のほうが、責任というものをよほど誤解している。実際に4日の数字を根拠に、かなり体調が悪いにもかかわらずPCR検査を断られた事例が報道されている事態をどう考えているのだろうか。