恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
出せば入る法則――原因結果の法則
先の続き・・・
それはさせていただくから、していただけたのです。
しなければ、もし良い条件で他の大手から売りにいかれたら忽ち得意先を
取られてしまうはずですね。
なんと東京のお店に私から出向いたのはたった一回、しかも商売の話は一分間で済みました。
そして二十五年間、こういう今の人助けの生活に変わるまで、ずっとお取引していただきました。
これは出すことによって入ることの一つのいい例だと思います。
商売において、同じ商品を買っていただくにしましても、
「これ一つ売ったら五百円の口銭がある、なんとかこれを売って儲けてやろう」と思いますと、
相手の心にはもう入らないのです。
「この商品によってこの人が便利になり、幸せになってもらえるのだ、喜んでいただけるのだ、
儲けていただけるのだ」という一念でお勧めしますと、買う方の心にシャッターが下りません。
同じ利益をいただいて、同じ物を売るにしましても、利益を頭に入れて商売しますと、
金儲け主義となって相手に通じないのですが、買う側の幸せを思い、
その方のお役に立つのだという一心でお勧めした時は、相手の方にそのままストレートに入っていきます。
商売というのは、品物を売っているのだと思っていますけど、
本当は自分という人間の心を買ってもらっているのです。
信用ですね。
「あの人は信用できる、あの人の言う物なら買っても間違いない」というように、
全部心を買ってもらっているのですね。
品物は動いています。
そして欲がからんで取引しますと、「ああこれを買ってえらい目にあった」ということに
なってしまいます。
この自然界といいますのは、すべて調和を目的として運営されていますから、
私たちもそのように生きさせてもらえば、
その時苦しみの少ない安らかな人生を過ごすことができます。
~ 感謝・合掌 ~