2003年10月から翌年9月まで、テレビ東京系列で全51話が放映された、ゼネラル・エンタテイメントの制作による特撮ヒーロー物『超星神グランセイザー』は、東宝がコナミと組んで7年ぶりに放った特撮テレビ番組。
さらに『幻星神ジャスティライザー』『超星艦隊セイザーX』と続くこの枠は「超星神シリーズ」と呼ばれ、東映の「スーパー戦隊シリーズ」に比べるとマイナーながら(だからこそ?)熱心なファンを少なからず生んだ、あなどれないシリーズだったりします。
特に、平成『ゴジラ』シリーズの川北鉱一さん率いる特撮チームによる怪獣vs巨大ロボのバトル描写は、主役ヒーローたちの場面よりも力がこもってるかも知れずw、日本特撮ご本家としての意地が感じられます。
その第1弾である『グランセイザー』の特徴は何と言っても総勢12名!というヒーローの大所帯ぶり。3人組X4チームという構成で、最初の1クールはチームどうしのバトルが描かれ、スーパー戦隊シリーズとの違いが強調されてました。
第2クールからは一致団結、宇宙からの侵略者たちと戦うチームワークが、そして最終章となる第4クールではその黒幕「ウオフ・マナフ」との最終決戦が壮大なスケールで描かれます。
で、今回取り上げたのは「バラエティー編」と位置付けされた第3クールの作品。基本的に『グランセイザー』は連続物のフォーマットなんだけど、このクールだけは1話完結で「ウオフ・マナフ」が直接絡まない独立したストーリーが描かれてます。
そんな中でもこの第36話は、チャラ男のセイザーダイル=秤谷 仁(松沢 蓮)が主役を務めた唯一のエピソード。なぜ取り上げたかと言うと、脚本を書いた人がおそらく相当な刑事物マニアだから。なにしろサブタイトルが『さらば相棒!』で、宇宙刑事が活躍する話なんです。
このところ使命感に目覚めて身体を鍛え始めたチャラ男の仁が、大の運動嫌いである親友=中尾真司(多賀啓史)と休日にドライブしてたら、いきなり2人の異星人が空から降って来たから驚いた!
で、カッコいい方の異星人が、如何にも悪そうな異星人に撃たれて死んでしまう。その瞬間、今まで怖がってた筈の真司が、逃げていく悪い異星人を追いかけようとするからワケが分からない!
だけどこれまでウオフ・マナフとの戦いで異星人のポテンシャルを学んで来た仁は、ピンと来ます。そう、親友の真司は、死んだ異星人の魂に身体を乗っ取られた!
死んだ異星人in中尾真司の正体は、クリミネルと呼ばれる極悪異星人を追って地球にやって来た、宇宙刑事のフリード。彼はクリミネルに殺された相棒刑事への誓いを果たすため、何があろうとも追跡を諦めるワケにはいかず、やむなく真司の肉体を借りたのでした。
いくらグランセイザーとはいえ、よその星の犯罪者にまでかまってられない仁だけど、親友の身体を使われては放っておくワケにいきません。クリミネルを倒したら真司に身体を返すことを条件に、仁はフリード刑事の新たな相棒となって共に闘うのでした。
アメリカ産のSFアクション映画『ヒドゥン』をパクったようなストーリーだけど、身体を乗っ取られた中尾真司が運動不足で虚弱体質っていうのが本作ならではのポイントで、お陰でフリード刑事は思うように走ったり闘ったりすることが出来ず、仁=セイザーダイルの協力なしではクリミネルを倒せない。
だから二人が行動を共にする展開に無理がなく、笑えるし、使命を果たしたフリードが真司に身体を返す=天国に旅立つラストシーンは切なくも爽やかで、なんだか知らないけど全てが私好みのストーリー。この素晴らしい脚本を書いた人はよほどのイケメンに違いないと、私以外の人は誰も言わないのでここに記しておくことにしました。
なお『超星神グランセイザー』のレギュラーキャストは、炎のトライブが瀬川亮、清水あすか、武田光兵、風のトライブが芹沢秀明、星野マヤ、松沢蓮、大地のトライブが高原知秀、磯山さやか、正木蒼二、水のトライブが岡田秀樹、伊藤久美子、菅原卓磨、そして彼らを束ねる堀口博士が赤星昇一郎、といった面々。
今回のエピソードには松沢さん、瀬川さん、清水さん、赤星さんしか登場してませんが、その代わり制服警官を演じた役者さんがやけにイケメンなので画像を載せておきます。
4人おられるヒロインの中で私の一番好みはセイザーパイシーズ=魚住愛を演じられた伊藤久美子さんだったりするので、水着ショットもオマケします。
なつかしいですね!!
本当に意欲作ですね!
もう東映・円谷以外から特撮が日本で出てくるとは
思えません、
ほんの数年前ですが良い時代でした!
ほんの10数年前が夢みたいで、ほんとお先まっくら……みたいにネガティブなことも迂闊に言えない世の中になってしまいました。
今更ながらですが、2点ほど書き込ませていただきます。
・よろず淡白な私ですが、最後のお別れシーンが爽やか過ぎて少々欲求不満です。
・異星人の銃撃をかわす警官Aの動きの良さにびっくり。
彼は鷹山刑事(舘さん)くらいは動けるのでしょうか。
ダンディー中尾の吹っ飛び方はなかなかお見事で、確かに舘さんにはああいう風には飛べないかな、と思いました。
それにしても、監督・脚本・主演のひとり三役で絵コンテも全部描かれていたということなので、相当な「こだわりの人」(完璧主義者?)でいらっしゃる、ということでしょうか。
小ネタ好きの私は『PERFECT PARTNER』で使われていた小切手の振出人名にウケてしまいました。
彼が一番やりたかったのは、たぶん主演で、でも誰も使ってくれないから自分で脚本を書いて自分で監督するしか無かった。絵コンテを描くのは、設計図が無いと現場で混乱しちゃうから。
というスタイルで自主製作映画をずっと創って来たので、プロになってもそれしか出来なかったワケですね。
こだわりの人で完璧主義者だったのは、キラーズの第1話を撮られたきうちかずひろ監督です。各監督の撮影を見学させてもらったのですが、きうちさんの粘りようは凄かったです。
カメオ出演がお好きなのかな、とは思ったのですが…
『亜弥のDNA』で岩城刑事の土手っ腹に風穴を明けたのは彼ですよね。
『亜弥のDNA』と言えば(ここに書くのは場違いですが)、「防弾チョッキを着用していても頭を狙われたらどうするんだ」ということにちゃんと答えていたのは素晴らしい。☆パチパチパチ
確かに子供の頃そう思いましたから。