レジェンダリー社製作によるハリウッド版『ゴジラ』の第2弾、そして『キングコング/髑髏島の巨神』を含む「モンスターバース」シリーズ第3弾となる超大作。マイケル・ドハティ監督作品で2019年6月現在公開中です。
いやはや、やっぱり、ハリウッド映画は面白いです。確かにアトラクション映画だし観た後に残るものは何も無いかも知れないけど、それを上から目線で「人間が描けてない」だの「乳首」だのと批判する輩には「ちょっと待ってくれ、キミは一体これを何の映画だと思っているんだ?」と問いたいです。
これは怪獣映画なんです。怪獣が主役なんです。人間など二の次でしょう? 乳首は大事だけど。いやぁ~怪獣って、本当に怖いもんですね!っていう感想以外、何を残したいの?ってことです。
そうは言いつつ、人間側のドラマにはちゃんと感情移入できたし、特に芹沢博士(渡辺 謙)の見せ場にはしっかり泣かされたし、環境破壊やテロリズムなど現代社会に対するメッセージの折り込み方も見事だと感じました。
だけど私が真に楽しんだのは、昭和から平成にかけて創られて来た日本製ゴジラ映画たちに対する、リスペクトをこめたオマージュの数々。そこからダイレクトに伝わってくる、あまりにも無邪気なゴジラ愛です。
本当に心底から好きな人たちが、最高のゴジラ映画を自分たちの手で創り上げるべく全力を尽くされてるのが画面から伝わって来ます。人気俳優に謎解きさせときゃ女性視聴者が食いつくだろうっていう、どこかの連ドラ制作者たちとは根本から姿勢が違ってます。
そりゃあ製作環境はまるで違うだろうし、かかってるお金もまるで桁が違う。そもそも国柄が全然違う。だけど、例えハリウッド映画の千分の一の予算で創られたTVドラマであっても「最高のものを俺たちが創るんだ!」っていう心意気がもしあれば、絶対我々に伝わって来る筈です。逆にどんだけ予算をかけた超大作であっても創り手にそういう気概が無ければ、それも我々は的確に見抜く事でしょう。見分け方はごく簡単、観てて心が踊るか踊らないか、ただそれだけの違い。
この『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ』という映画には、そんな血湧き肉踊る瞬間が多々ありました。もちろん、それは日本のゴジラ映画をほとんど欠かさず観て来たファンだからっていうのが大きいけど、そうでない人にも創り手たちの愛と心意気は理屈抜きに伝わるだろうと思います。もし何も感じない人がいるなら、ただちに私の飛行機を降りて、謎解きドラマでも観てどんでん返しゲームを楽しんで下さい。
とにかくゴジラ、モスラ、ラドン、そしてキングギドラといった東宝の人気怪獣たちが次々登場し、プロレスするだけの映画と言ってしまえばその通りだけど、それを今の時代にやって陳腐にならず、世界中の観客に説得力を感じさせるにはどうすればいいか、知恵を搾りに搾り尽くした努力のあともヒシヒシと感じられます。
日本製ゴジラ映画(アニメを除く)の現在のところ最新作である『シン・ゴジラ』が、それまでに無かったアプローチで全く新しいゴジラ映画を構築したのと対照的に、ハリウッドの方が旧シリーズの名場面を最新技術でバージョンアップすることに尽力してる構図がまた面白い。日本とアメリカ、それぞれが自国の得意なやり方でゴジラ映画を進化させてる。
日本側がこの後どんなアプローチで『ゴジラ』の新作をやるのか、すごく楽しみです。ハリウッドに王道をここまで極められたら、もはや『シン・ゴジラ』を凌ぐ変化球で挑むしか無いですよね。(アニメ版は観てません。ゴジラをアニメで描くことに何の意味があるのか分からない)
ハリウッド版は早くも来年『ゴジラVSコング』が公開予定で、小栗旬くんが登場するんだそうです。これも楽しみ。
今回の『キング・オブ・モンスターズ』には渡辺謙さんのほか、カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、サリー・ホーキンス、そしてチャン・ツィイーといったキャストたちが登場。
ここでも女性陣の活躍が目立ちます。人間側のドラマを牽引するのがミリー・ボビー・ブラウン扮する少女なのがまた現代ならではで、萌えますw
PS. 1つだけ違和感を覚えたのは、タイトル通りゴジラを怪獣の王、一番強いのは彼なんだとやたら強調して描いてること。そこはやっぱアメリカやなぁと思いました。
誰が最強かは観た人それぞれが決めることであって、創り手がわざわざ示すような事じゃないし、ましてゴジラが自ら誇示するような事でもない……ていうのが日本版のスタンスだった気がするので。
もちろん今回はアメリカ作品だからアメリカ式でいいと思うんだけど、国民性の違いをまざまざと思い知らされた感じです。
Godzilla の名訳から神さびてきました。
『三大怪獣 地球最大の決戦』では、ゴジラがシェーをしてました。